蛙の子は蛙
酒豪の子は酒豪
この記事を読むと分かること
- アルコールの「代謝経路」を詳しく解説
- お酒の「許容量」ってどのくらいなの?
- アルコールの分解能力は「遺伝」で決まるのか?
- アルコール耐性の検査方法
筋トレ6年目、2019年JBBFメンズフィジークでは”県2位”
オンラインサロンやセミナー、書籍、論文などで「栄養学」を学んでいる、栄養オタクトレーニーです。
「お酒は、飲めば飲むほど強くなる」
このような言葉を聞いたことありませんか?
しかし、この考え方は間違っています。
お酒の耐性がない人は、どれだけ飲んでも強くなることはありません。
なぜなら、お酒を分解する能力は「遺伝で決まっている」からです。
この記事を読めば、お酒が飲める・飲めないは「遺伝で決まっている理由」を知ることができます。
記事の最後で「自分で行えるアルコール耐性の検査方法」も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでください!
※ 1993年に発表された下記の論文を参考にしています。
「アルコールおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの遺伝子多型とアルコール代謝への影響」
アルコールは最終的に「水」と「二酸化炭素」になる!?
お酒を飲めるか・飲めないかは「遺伝」で決まっている
これを理解するには「アルコールの代謝経路」について知っておく必要があります。
また、アルコールの代謝経路を理解することで、二日酔いなど”お酒のダメージ”を抑えることも可能です。
まずは、アルコールの「カロリー」について解説します。
◎アルコールは「エンプティカロリー」
「アルコールのカロリーは、エンプティカロリーだから太らない」
このようなこと聞いたことあると思います。
確かに、アルコールのカロリーは「エンプティカロリー(空っぽのカロリー)」と言われています。
しかし、空っぽと言っても「エネルギーとしての価値がない」だけで、”カロリーは存在する”のです。
アルコール1gあたり = 7kcal
※ 糖質・タンパク質1gあたり = 4kcal
※ 脂質1gあたり = 9kcal
つまり、エンプティカロリーでも「摂りすぎれば普通に太る」ということです。
◎アルコールの「代謝経路」
摂取したアルコールは、体内でいろんな反応を起こし、最終的には「水」と「二酸化炭素」にまで分解されます。
アルコールが「水」と「二酸化炭素」に分解されるまでの経路は次の通りです。
① アルコールを摂ると「ADH(アルコール脱水素酵素)」が反応して、身体に有害の「アセトアルデヒド」が作られる。
② その「アセトアルデヒド」に「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」が反応して、無毒の「酢酸」になる。
↑ ここまでは「肝臓」で処理される
③ 無毒になった「酢酸」は、筋肉・他の臓器に送られて「水」と「二酸化炭素」にまで分解され、「熱エネルギー」として放出される。
お酒を飲むと体が熱くなるのは、「酢酸から水と二酸化炭素に変わる過程での熱エネルギー」が関係しているからです。
✓ アルコールの代謝経路(超簡潔バージョン)
アルコール → アセトアルデヒド → 酢酸 → 水と二酸化炭素
◎アルコールの「吸収・処理速度」
アルコールは消化されないので、「胃でも吸収される」という特徴を持っています。
摂取したアルコールの20%が「胃」で、80%が「小腸」で吸収されるのです。
また、消化器官内のアルコールの吸収はとても早く、1〜2時間程度で全て吸収されます。
そのため、急速に血中アルコール濃度は上がり、30分〜2時間でピークになって、そこから徐々に下がっていきます。
✓「1時間あたりに吸収(処理)できるアルコールの量」
- 男性:約9g
- 女性:約6.5g
✓「アルコール5%の350ml缶ビールを飲んだ場合」
- 缶ビール350mlには、約18gのアルコールが含まれている
- 男性:約2時間で吸収(処理)される
- 女性:約3時間で吸収(処理)される
※あくまで目安です。個人差はあります。
お酒が強さは「遺伝」で決まる?!
ここからやっと本題に入ります。
「お酒の強さは、遺伝で決まっているのか?」
結論から言うと、完全に遺伝で決まっています。
ですので、お酒に弱い人は、一生強くなることはありません。
「遺伝で決まっている」理由を、下記で解説していきます。
◎「フラッシング反応」とは?
日本人の約半数は、少量でもお酒を飲むと何かしらの反応が起きます。
- 顔が赤くなる
- 動悸がする
- 頭痛
- 吐き気 など
これらを総称して「フラッシング反応」といい、この体質の人を「フラッシャー」と呼びます。
フラッシャーの人が、無理して飲酒を続けていると、食道がんや咽頭がんのリスクが高まるということも分かっています。
◎お酒の強さが「遺伝で決まっている理由」
お酒の強さが「遺伝で決まっている」理由
有毒の「アセトアルデヒド」から、無毒の「酢酸」に変換するときに使われる「アルデヒドデヒドロゲナーゼ」という酵素の強さが、遺伝で決まっているからです。
アルデヒドデヒドロゲナーゼの強さは、”3つのタイプ”に分けることができます。
- 「活性型」:酵素が正常に働く
- 「低活性型」:酵素の働きがゆっくり
- 「非活性型」:まったく働かない
「活性型」の人は、問題なくお酒を飲むことができます。
しかし、「低活性型」と「非活性型」の人は、お酒を飲むとフラッシング反応が起きてしまいます。
つまり、「低活性型」か「非活性型」のタイプの酵素を持っている人は、「遺伝的にお酒が飲めない体質」ということです。
「両親が酒豪の人は、子供も酒豪になる」とよく聞きますが、酵素も遺伝するので、この考えはだいたい合っていますね。
アルコール耐性の検査を個人で行う方法
「自分にはアルコール耐性があるのか?ないのか?」
あなたも、気になりますよね?
自分のアルコール耐性が気になる人は、「パッチ」を使えば簡易的ではあるものの、自宅で簡単にチェックすることができます。
◎エタノールパッチテストとは?
エタノールパッチテストを簡単に説明すると、アルコールを肌につけて、どのように反応するのかチェックする方法です。
- アルコール度数70%のエタノールを染み込ませた布を肌に貼る
- 7分間待つ
- 剥がして10分待つ
- どのように反応するのかチェックする
このような方法で、アルデヒドデヒドロゲナーゼのタイプを診断できます。
なんと、90〜95%の正確性があるそうです。
簡易的ではあるものの、ネットでこれと似た「アルコール体質試験パッチ」というものを買うことができます。
◎ネットで買える「アルコール体質試験パッチ」
✓「アルコール体質試験パッチの使用方法」
- パッチを袋から取りだし、白いフィルムをはがす
- パッチを腕の内側に貼る
- 20分ほどたったら、皮膚の色の変化で自分のアルコール体質を判定
- 2歳以上から検査可能
- 15歳未満の方の場合、反応が出にくい場合があるので30~40分貼付して判定する
3枚入りなので、家族とか友達同士で試してみても楽しそうですよね!
「自分ってアルコール耐性あるのかな?」と気になる方は、ぜひ試してみてください!
まとめ【お酒が飲めない人は諦めましょう】
今回は、お酒の強さは「遺伝で決まる」という内容でした。
お酒が飲めない人でも無理して、飲酒を続けていれば「ある程度の耐性」は付きます。
しかし、食道がんや咽頭がんのリスクが高まるということも分かっています。
ですので、お酒が強くなるわけではありません。
「お酒は、飲めば飲むほど強くなる」
これは、昔の人の間違った考え方なので、お酒が飲めない人はおとなしく諦めてください。
さいわい、これからの時代は「タバコ」と同じように「アルコール」も規制されていくので、お酒は控えるのが賢明でしょう。
◎要点まとめ
最後に、簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- アルコール耐性は「遺伝」で決まっている
- 無視してお酒を飲んでいれば、耐性は付くものの癌のリスクは高まる
- エンプティカロリーでも、摂りすぎれば普通に太る
- アルコールは最終的に「水」と「二酸化炭素」になって「熱エネルギー」として放出される
- アルコール耐性の簡易的なチェックなら自宅でも行える
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。