✔︎ この記事で解決できるお悩み
• カリウムって筋トレと関係あるの?
• カリウムの効果や働きを知りたい!
• カリウムの1日で摂るべき摂取量が知りたい!
今回の記事は、筋肉博士”山本義徳”先生の書籍『アスリートのための最新栄養学(下)』を参考にしています。
この記事では、『カリウムの基礎知識と筋トレとの関係について』解説していきます。
ミネラルといったら、「カルシウム」や「鉄」を思い浮かべる人が多いですが『カリウムはもっとも重要なミネラルのひとつ』です。
最後まで読んで、「筋トレにカリウムが重要な理由」「"塩抜き"でカリウムを摂取する理由」など、サクッと理解しましょう!
「カリウム」と「ナトリウム」は、"対をなす"栄養素なので、ぜひ『ナトリウムについて』も頭に入れておいてください。
→ 『ナトリウム不足』は筋トレに悪影響!ミネラルで最も重要な『ナトリウム』とは
『カリウム』ってなに?
カリウムは、人間に必要な16種類の「必須ミネラル」のひとつです。
人間の体内には、「120g〜200g程度」のカリウムが存在しています。
遊離イオンやリン酸塩、たんぱく質との結合体として、そのほとんどが細胞内にあります。
ですが、ごく一部は、血液やリンパなどの体液(細胞外液)や骨にも含まれています。
カリウムは主に、「浸透圧の調整」や「神経伝達」などの働きをしています。
『ナトリウムを排出する作用がある』ため、むくみの解消や塩抜きなどで使われることもあります。
カリウムは、ドイツ語で「Kalium」、英語だと「Potassium(ポタシウム)」です。
カリウムが多く含まれる食材:イモ類、ほうれん草、バナナ、アボカドなど
最も重要な働きの『ナトリウムポンプ』とは
カリウムの働きで、最も重要なものは『ナトリウムポンプ』です。
そして、ナトリウムポンプには「カリウム」とプラスで「ナトリウム」も必要です。
これら2つのミネラルが、生命活動の主役たる『ナトリウムポンプを働かせている』のです。
ナトリウムポンプの「働き」
人間の身体は、『ATPをエネルギーにして』動いています。
ですが、その大事なATPのうち『”3分の1”〜”4分の1”は、ナトリウムポンプの動力として』使われています。
そして、そのナトリウムポンプの主な働きは「情報伝達」です。
※情報伝達とは:細胞の浸透圧の調整、神経の興奮伝達、小腸や尿細管で栄養が吸収されるなど
細胞の中は「カリウム」が多く存在し、細胞の外は「ナトリウム」が多く存在しています。
この状態は、ナトリウムポンプによって保たれています。
そして、カリウムとナトリウムが細胞の内外を、行ったり来たりするときに「活動電位」が発生して、情報伝達が行われます。
つまり、ナトリウムやカリウムが不足して、ナトリウムポンプが働かないと、『細胞の浸透圧が調整できないため、細胞が膨れ上がって破壊される』ということです。
そうすると、『栄養素も吸収できない』ということになります。
ですので、「ナトリウム」と「カリウム」は”1番重要なミネラル”といえます。
ミネラルといったら「カルシウム」や「鉄」を思い浮かべますが、それ以上に重要なのが「ナトリウム」と「カリウム」なのです。
→ 『ナトリウム不足』は筋トレに悪影響!ミネラルで最も重要な『ナトリウム』とは
カリウムの「効果」
•(1)細胞の浸透圧の調整をする
•(2)筋肉の収縮や神経の伝達物質として働く
•(3)体内のpHの調整をする
•(4)血圧を下げる
それでは、ひとつずつ解説していきますね。
(1)細胞の浸透圧の調整をする
上記で解説した、「ナトリウムポンプ」により、細胞の浸透圧を調節しています。
カリウムは、『ナトリウムを体外に排出する作用』があります。
ですので、カリウムを摂取することにより、塩分の摂り過ぎによる「浮腫み」を防ぐことができます。
(2)筋肉の収縮や神経の伝達物質として働く
カリウムは、ナトリウムと対をなす栄養素で、筋肉の収縮に関わっています。
一方、カリウムが異常なほど不足すると、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることがあります。
(3)体内のpHの調整をする
カリウムは、体内のpHを一定に保つ働きをします。
※「pH」とは:体液が、酸性かアルカリ製なのかを表す尺度
トレーニングをすると、乳酸やピルビン酸、脂肪酸などの「酸」がpHを下げ、体内が酸性に傾きます。
ですので、『カリウムを摂取して、pHを一定に保つ必要』があります。
(4)血圧を下げる
カリウムには、ナトリウムの腎臓における再吸収を抑制し、体外に排出する働きがあります。
腎臓が正常の人なら、1日に「20〜30g」の塩分を排出することができます。
「塩分」と「高血圧」の関係は、東北地方(塩分摂取が多い地域)での調査から導き出されたものです。
論理ではなく、疫学(統計)から導き出された結論です。
しかし、「りんご」で有名な、青森県の弘前地方では『血圧が正常であった』という結果でした。
これは、「りんご」に含まれるカリウムによるものです。
カリウムを摂取することにより、血圧が下がったというメタアナリシス(信用できる研究結果)もあります。
また、カリウムの多い食事をしていると、脳卒中などの死亡率も低下することがわかっています。
カリウムの「摂取量」
厚生労働省が定める推奨摂取量
男性:「3,000mg以上」
女性;「2,600mg以上」
WHOのガイドラインでは、男女とも「3,510mg」を推奨しています。
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、日本人の1日の平均カリウム摂取量は「2,201mg」です。
普通の食事をしている人は、「1,000mg」ほど足りていません。
ですが、カリウムは『食事から簡単に摂取できる』ので、サプリメントで摂る必要はありません。
イモ類(里芋、さつまいも、じゃがいも)には、100gあたり「300〜600mg」程度のカリウムが含まれています。
昆布や切り干し大根、ひじき、わかめなどにも豊富に含まれています。
コンテストや撮影などがある人で、「絶対に浮腫むのは避けたい」このような場合は、サプリメントを使うのもひとつの手段です。
過剰摂取の心配は?
カリウムは、”もともと腎臓が悪い人”でなければ、体外に排出されるので『過剰摂取の心配はありません。』
ですが、「腎臓に問題がある人」が、ボトルを一気飲みするなど、過剰に摂取すれば「高カリウム血症」になる可能性もあります。
高カリウム血症になると、細胞内のカリウムが増えすぎて、ナトリウムが細胞内に入りにくくなり、ナトリウムポンプがうまく働かなくなります。
そうすると、心臓の収縮に問題が起こり不整脈になったり、筋収縮が調整できなくなり、四肢のしびれなどが起こったりすることもありえます。
「浮腫み」がコワイならカリウムを摂取しよう!
今回は「カリウム」について解説しました。
「浮腫み」は、ナトリウムポンプの範囲を超えて、『ナトリウムが細胞内に入り込みすぎることが原因』で起きます。
ですが、「カリウム」と「ナトリウム」のバランスを考えて摂取すれば、浮腫むことはありません。
ここまで、この記事を読んだあなたは、正しい知識が身についたので、「浮腫み」に恐れることはないでしょう!
ただし、コンテストや撮影などで、見た目を気にする人は、意識的に「カリウム」を摂取するというのも、ひとつの手段としてアリでしょう。
「カリウム」と「ナトリウム」は、対となる大事な栄養素です。
ぜひ、こちらの『ナトリウム不足』は筋トレに悪影響!ミネラルで最も重要な『ナトリウム』とはという記事を読んでみてください!