痛みの原因は”あの脂質”⁉
この記事を読むと分かること
- 栄養学的アプローチ可能な関節痛とは?
- 関節痛を改善する”3つ”の方法
- コストをかけない改善方法
膝、股関節、手首などの「関節痛」
トレーニングをハードにしている人なら、一度は経験したことがあると思います。
この記事は2018年に発表された「変形性関節症における食事と栄養の役割の証拠」
この論文を参考に『関節痛の予防・改善方法』を解説していきます。
参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5905611/
■栄養学的アプローチが可能な関節痛とは?
関節痛は、栄養学的アプローチが”可能”なものと”不可能”なものがあります。
☆栄養学的アプローチが可能なもの
”内因性の痛み”による関節痛
例)肥満など不摂生によるもの、適切な栄養摂取ができていない など
☆栄養学的アプローチが不可能なもの
”外因性の痛み”による関節痛
例)重たい重量を扱ったため突発的に発生する痛み など
外因性の原因をなくさないと改善は難しい。
→ 重量を軽くする、関節に負荷のかからないフォームにする など
◎「関節症の改善」と「関節痛の軽減」は別もの
「関節症を改善すること」と「関節痛の軽減すること」は、違うものとして考えましょう。
関節症の場合、軟骨がすり減っている状態を元に戻すアプローチが必要になります。
しかし、軟骨がすり減っているのと痛みの改善は別の話です。
軟骨が元に戻ったからと言って、痛みがなくなるわけではありません。
ですので、関節症の改善と関節痛の軽減は別で考える必要があるのです。
■関節痛を予防・改善する”3つ”の方法
コラーゲン、コンドロイチン、グルコサミン
これらを摂取すると「関節痛の症状が改善する」というのは確立されています。
しかし、”関節痛の痛み”が無くなるわけではありません。
あくまでも、症状が改善するだけです。
そこで、関節痛の痛みを予防・改善する方法を”3つ”紹介します。
- 体重を減らす
- オメガ3の摂取の割合を増やす
- 血液中のコレステロール値を下げる
一つずつ解説していきます。
①体重を減らす
世界で一番多い関節痛の部位は「膝関節」です。
膝から上の「大腿骨」と、膝から下の「脛骨」の間には「半月板」があります。
これらが直接あたると、神経に触れて痛みを感じてしまいます。
痛みを感じないために、周りに軟骨組織があるのです。
そして、この軟骨組織が減ってくると、摩擦が生じて炎症反応(痛み)になります。
ですので、体重を軽くすることで膝にかかる圧力を緩和し、痛みも緩和することが可能ということです。
✓どれくらい減らせばいいのか?
変形性関節症を伴う痛みを発症している177人を対象に、減量させて主観的な痛みの変化を調査しました。
その結果、体重が11%落ちた際に、全体の45%の人が痛みの緩和を報告しました。
ですから現在、膝関節に痛みがある人は半年〜1年くらいかけて、体重の10%を目処に体重を減らすと良いでしょう。
また、膝関節だけでなく、股関節・足関節など、体重の増加で伴う痛みには効果的です。
②オメガ3の摂取の割合を増やす
関節痛に限らず、生理痛・頭痛などにも共通して痛みを引き起こす物質があります。
それが「炎症性のエイコサノイド」です。
☆炎症性のエイコサノイド
- プロスタグランジン
- プロスタサイクリン
- ロイコトリエン
- トロンボキサン など
痛みの主な原因の「プロスタグランジン」を抑制する方法を紹介します。
✓ プロスタグランジンを抑制する方法
頭痛薬を飲むと生理痛にも効果があるのは、痛みの原因のプロスタグランジンの活性を抑えるからです。
プロスタグランジンを抑制することができれば、関節痛の痛みも緩和することができるのです。
プロスタグランジンは、オメガ6の「アラキドン酸」から作られます。
ですので、脂質全体の摂取量において、オメガ6よりもオメガ3の比率を上げることでプロスタグランジンを抑えることができるということです。
関連記事「良い脂肪と悪い脂肪の違い」
③血液中のコレステロール値を下げる
血液中のコレステロール値と脂肪酸の量は、一定の相関関係があります。
コレステロール値は高い人は、脂肪酸の量が多いのです。
脂肪酸の量が多いということは、オメガ6の摂取量が過多になっている傾向にある。
その結果、プロスタグランジンの生成を抑制できなくなるということが起きます。
✓ コレステロール値を下げる”3つ”の方法
1つ目は、EPA・DHA、リコピンなど、HDLを増やす栄養素の摂取です。
2つ目は、そもそもコレステロールを摂取しないという方法。
3つ目は、食物繊維を摂取してコレステロールの吸収を抑えるというものです。
■コストをかけない改善方法
コストをかけずに関節痛を改善する一番良い方法は”姿勢の改善”です。
姿勢が悪いと関節の一部分に負荷がかかります。
その結果、痛みが発生します。
つまり、姿勢を改善することにより、痛みが緩和する可能性もあるということです。
歩き方、立ち方、座り方の改善には即効性があるので、ぜひ姿勢の改善に取り組んでください。
■まとめ【適切なアプローチ方法を!】
今回は、関節痛の予防・改善の栄養学的アプローチを紹介しました。
関節痛を予防・改善すると言っても、外因性の痛みが原因の関節痛は食事管理ではどうにもなりません。
反対に、肥満や不摂生などの内因性の痛みが原因の関節痛は、栄養学的アプローチが可能です。
自分はどのタイプの関節痛なのか見極めて、適切なアプローチ方法をとるようにしてください。
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
☆関節痛を予防・改善の栄養学的アプローチ
- 体重を減らす
- オメガ3の摂取の割合を増やす
- 血液中のコレステロール値を下げる
- 栄養学的アプローチが可能なのは”内因性の関節痛”
- 姿勢を改善することで痛みが緩和することもある
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。