「腸」は、第二の脳
この記事を読むと分かること
- 腸内環境と基礎代謝の関係性
- 脂肪の吸収・分解に関わる「短鎖脂肪酸」
- 意外と知らない「腸」の話
- 腸の炎症反応「リーキーガット症候群」とは
筋トレ歴6年、2019年JBBFメンズフィジーク”県2位”
栄養の学校NNCやセミナー、書籍、論文などで「栄養学」を学んでいる、栄養オタクトレーニーです。
摂取カロリー < 消費カロリーで生活している
整った「PFCバランス」で食事管理もしている
補酵素、補因子になる「ビタミン・ミネラル」も十分な量を摂取している
しかし、なぜだか、体重が落ちない
こんな人は「腸内環境の悪化」を疑いましょう。
この記事では、『腸内環境の悪化が、ダイエット・減量を停滞させる原因になる可能性』について解説しています。
ダイエット・減量が停滞している人は、「腸内環境が重要な理由」の部分だけでも読んでみてください。
■なぜダイエット・減量に「腸内環境」が重要なのか?
ダイエット・減量に腸内環境が重要な理由は”2つ”あります。
- 腸内環境が悪化すると「基礎代謝」が落ちる
- 脂肪の吸収・分解に関わる「短鎖脂肪酸」を減らす
腸内環境の悪化による”体重の停滞”は、この2つが原因です。
これだけだとよく分からないと思うので、詳しく解説していきます。
◎腸内環境と「基礎代謝」の関係性
☆「代謝の種類」
- 基礎代謝(60%):寝てても消費される
- 活動代謝(25〜30%):運動により消費される
- 食事誘発性熱産生(10〜15%):食事を消化吸収する過程で生じる、胃腸を動かすための熱エネルギー
☆ダイエットの大原則
摂取カロリー < 消費カロリー
腸内環境が悪化すると、知らぬ間に基礎代謝が落ちて、この大原則が守れなくなります。
そのため、カロリー計算をして食事をしていても体重が減らなくなるのです。
腸内環境が悪化 → タンパク質が消化吸収されない → 体内にアンモニアが増える → 肝臓に負担がかかる → 基礎代謝量が落ちる
✓腸内環境の悪化や過剰なタンパク質は「肝臓」の負担になる
減量中は体重×2〜3g、多い人は体重×4gくらい摂る人もいます。
しかし、大量に摂取したタンパク質の全てが吸収されるわけではありません。
腸で吸収されなかったタンパク質は、「窒素」から「アンモニア」になり、無毒の「尿素」に分解され、最終的に腎臓で「尿」になって体外に排出されます。
要するに、腸内環境が悪いとタンパク質が吸収されず「アンモニアを増やすことになるので、肝臓に大きな負担をかける」ということです。
消化されなかったタンパク質 → 窒素 → アンモニア → 尿素(肝臓)→ 尿(腎臓)→ 体外へ排出
→ 関連記事「1回の食事で吸収できるタンパク質の量は20gってホント?」
また、「アルコール」も肝臓に大きな負担をかけるので、基礎代謝量を落とす原因になります。
アルコール → アセトアルデヒド(肝臓)→ 酢酸(筋肉・その他の臓器)→ 水と二酸化炭素
代謝経路の詳細こちら→「お酒の強さは遺伝で決まる!?」
✓肝臓の働きが落ちると「基礎代謝量」が落ちる
肝臓の働きが落ちると「基礎代謝量」が落ちる理由は、基礎代謝量の大部分を「肝臓」が占めているからです。
☆「基礎代謝量の内訳」
- 肝臓:27%
- 脳:19%
- 筋肉:18%
- 腎臓:10%
- 心臓:0.7%
- その他:19%
以外かもしれませんが、基礎代謝量は「筋肉」よりも「肝臓」のほうが圧倒的に多いのです。
なので、肝臓の働きが低下すると、それに比例して基礎代謝量も減少するということになるのです。
ダイエット・減量が停滞している人で「肝臓の働きが弱ってるな」と感じる人は、肝臓のケアを考えてみてもいいかもしれません。
◎脂肪の吸収・分解に関わる「短鎖脂肪酸」
短鎖脂肪酸には、ダイエット・減量中に役立つ働きがあります。
※ 短鎖脂肪酸:酢酸、酪酸、プロピオン酸
☆短鎖脂肪酸の働き
- 飽和脂肪酸の吸収を制限する
- 脂肪を細かく分解する
短鎖脂肪酸には、上記のようなダイエット・減量がスムーズに進むような働きがあります。
つまり、体内の短鎖脂肪酸が多ければダイエットは効率的になり、少なくなればダイエットは停滞するということです。
✓腸内環境が悪化すると短鎖脂肪酸が減る
人間の腸内には、腸内フローラといわれる「菌」が下記のような割合で存在します。
- 善玉菌:2
- 悪玉菌:1
- 中間菌:7
このバランスが崩れると、腸内環境は悪化するのです。
また、短鎖脂肪酸は、善玉菌が増えることにより作り出されます。
逆に、悪玉菌が増えると、短鎖脂肪酸は減少してしまいます。
✓善玉菌を増やす方法
善玉菌を増やせば、ダイエット・減量に効果的な短鎖脂肪酸を作り出すことができます。
ですので、腸内の善玉菌を増やす栄養素を摂るようにしましょう。
善玉菌を増やす方法は、「プレバイオティクス」または「プロバイオティクス」を摂ることです。
- プレバイオティクス:善玉菌のエサになる栄養素(オリゴ糖、水溶性食物繊維)
- プロバイオティクス:善玉菌そのもの(発酵食品など)
減量中は腸内環境を整えるために、「グルテン」を控える、オリゴ糖、水溶性食物繊維、プロバイオティクスを摂ることを意識してみてください。
- 「オリゴ糖」:大豆、はちみつ、味噌など
- 「水溶性食物繊維」:もち麦、イヌリン、海藻類など
- 「プロバイオティクス」:ヨーグルト、納豆、キムチなど
→ 関連記事「世界でいちばん売れているサプリメント『プロバイオティクス』とは」
■体の不調は「炎症反応」が原因
健康リテラシーの高い人は「グルテンフリー」「カゼインフリー」という言葉を聞いたことあると思います。
これらが流行っている理由は、グルテンやカゼインが「腸の炎症反応の原因になるから」です。
また、タンパク質の過剰摂取も腸に負荷をかけるので、炎症反応の原因になります。
◎リーキーガット症候群とは
リーキーガット症候群は、腸の粘膜に傷が付いたり、細胞と細胞の間に隙間ができたりするものです。
分かりやすく言うと、「粘膜に穴が開く」という感じですね。
リーキーガット症候群になると、炎症誘発物質が血管内に流れ出てさまざまな悪影響をもたらします。
☆リーキーガット症候群による悪影響
- 減量中の風邪
- 筋肉痛・関節痛
- 減量末期の抜け毛
- 神経過敏、不眠症、不安
- トレーニングの質が下がる→筋肉量が減る→基礎代謝量が落ちる
☆リーキーガット症候群の原因
- グルテン
- カゼイン
- アルコール
- カフェイン
- ピル(女性)
- 過剰なストレス
- ジャンクフード
これらが原因で、リーキーガット症候群は引き起こります。
腸内環境を整えたい人は、これらはなるべく避けるようにするのが無難でしょう。
→ 関連記事「グルテンフリーで体調が良くなるってホント?」
■意外と知らない「腸」の話
「腸」の長さって、どれくらいか知っていますか?
「小腸」と「大腸」を合わせると、なんと7〜9mもあるそうです。
小腸だけで5〜7mあって、4時間くらいかけて移動して、摂取した栄養の90%は小腸で吸収されます。
そのあと、1.5〜2mくらいある大腸に流れていって、1〜2日かけて水分の処理がされるそうです。
大腸の太さが、小腸の2倍だから「大腸」という名前になったらしい。
また、消化吸収されなかったもので、長時間残ったものを「宿便」「残留便」と言いますが、さらに余ったものは、吹き出物や別の形で外に出ようとします。
「整腸作用」は、ダイエット以外にも、肌や体内の生理作用を循環させるために重要ということですね。
ただの豆知識というか余談でした。笑
■まとめ【減量中は腸内環境にも目を向けよう!】
今回は、ダイエット・減量が停滞したら「腸内環境の悪化」を疑えという内容でした。
ダイエット・減量中に停滞すると、食事だけでコントロールしようとする人がほとんどです。
ですが、今回の内容を理解していれば「腸内環境」にも目を向けることができ、停滞したときに切るカードを増やすこともできます。
ダイエット・減量中の方で、「何をやっても停滞を打破できない」という人は、腸内環境(消化・吸収・代謝)にも目を向けると謎が解けるかもしれません。
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- 腸内環境が悪化すると「基礎代謝」が落ちる
- 脂肪の吸収・分解に関わる「短鎖脂肪酸」を減らす
- 減量中は「グルテン」を控える
- オリゴ糖、水溶性食物繊維、プロバイオティクスを摂る
- ダイエット・減量で停滞したら「腸内環境」にも目を向ける
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。