計算通りに痩せない人は”遺伝子が悪い”のです
この記事を読むと分かること
- 計算通りに痩せない人がいる理由
- 体脂肪に関与する”4つ”の遺伝子とは?
- 代謝を促進する栄養素「EGCg」
カロリー摂取量・消費量の差、いわゆる「カロリー収支」で体重の増減が決まります。
これは、紛れもない事実です。
しかし、「適切な量のカロリー摂取をしているのに、計算通りに体重が減らない」ということもあります。
なぜでしょう?
理由は、「人によって持っている遺伝子が違い、個人差があるから」です。
”遺伝子栄養学”を知ることにより、この「計算では説明できない個人差」が何なのかを理解できます。
ぜひ、最後まで記事を読んでみてください。
「そもそも遺伝子栄養学ってなに?」という人は、下記の記事も読んでみてください。
→ 関連記事【入門編】遺伝子栄養学を理解しよう!
■遺伝子栄養学が必要な理由
遺伝子栄養学は、「体重・身長・年齢・運動量・摂取エネルギー等、画一的な計算では説明できない個人差を科学的に紐解き、栄養介入の最適解を見つけるため」に使います。
要するに、”遺伝子栄養学”を知ることにより「計算では説明できない個人差を科学的に説明できるようになる」ということです。
◎体重が減るメカニズムの具体例
✓ダイエットをするときの”理論的な考え方”
1日に500Kcalのアンダーカロリー
↓
30日継続で−15,000Kcal
↓
2kgの体脂肪が減る(7,200Kcal = 体脂肪1kg)
通常の人なら、このように体脂肪は減っていきます。
しかし、実際には「1kgや500gしか減らない」という方もいます。
なぜ、このようなことが起こるのか?
一言で言うと、「遺伝子の影響を受けているから」です。
◎遺伝子によって消費カロリーに”差”ある
1日に2,200Kcal〜2,300Kcalを消費する方の場合
遺伝子栄養学的には「−280Kcal〜170Kcalの個体差がある」というデータが出ています。
体重60kg・身長165cm・1日に2,200Kcal消費する方の場合
全く同じスペックの人が、同じ栄養・同じ運動量でも「1,900Kcal〜2,400Kcalくらいの幅がある」ということです。
スペックが同じでも、消費カロリーが1,900Kcalの人と2,400Kcalの人では、食事内容は大きく変わってきます。
このように、同じスペックに人でも消費カロリーに”差”があるので、計算通りに体重が減らないことがあるのです。
■遺伝子レベルで栄養学的アプローチをしよう!
近年、”遺伝子検査キッド”というものが、個人でも簡単に手に入れることが可能になりました。
ですが、どのような遺伝子が、どのような働きをしているのか理解していなければ、自分の遺伝子を知ったところで意味がありません。
そこで、遺伝子栄養学を理解していれば「遺伝子に適した栄養学的アプローチが可能」になります。
ここからは、体脂肪と筋肉に関する遺伝子を”4つ”紹介していきます。
◎UCP1(脱共役タンパク質)
✓「UCP1(脱共役タンパク質1)遺伝子A-3826G型(rs1800592)」
この”遺伝子多型”を持つ人は、消費カロリーが少ない人、いわゆる”体脂肪が減りづらい人”です。
※遺伝子多型がある = 遺伝子を作りにくい
※今回の場合は、UCP1が作りにくいとなる
UCP1は、ミトコンドリア内膜に存在する、熱産生タンパク質を作るものです。
褐色脂肪組織での熱産生に大きく関与して、消費カロリーを上げてくれます。
要するに、UCP1の”遺伝子多型”を持つ人は、安静時代謝量が低い(代謝が悪い)ということになります。
UCP1の遺伝子多型率:日本人の約16%
※日本人の約16%は、UCP1による熱産生がしづらい(痩せにくい)
◎ADRB3(β3アドレナリン受容体)
✓「ADRB3(β3アドレナリン受容体)遺伝子Trp64Arg多型(rs4994)」
この”遺伝子多型”を持つ人は、消費カロリーが少ない人、いわゆる”体脂肪が減りづらい人”です。
※遺伝子多型がある = 遺伝子を作りにくい
ADRB3は、白色脂肪組織での脂肪の分解、褐色脂組織での熱産生に関与しています。
✓ADRB3を持つ人の特徴
- 内臓脂肪が多い方
- インスリン抵抗性が高い方
- 2型糖尿病を発症しやすい方
ADRB3の遺伝子多型率:日本人の約34%
※日本人の約34%は、脂肪を分解しづらい(痩せにくい)
✓「ADRB3」の”3つのタイプ”
・①野生型
・②変異型(ホモタイプ)
→ 1日に”200Kcal〜220Kcal”を節約してしまうタイプ(一番痩せにくい)
・③変異型(ヘテロタイプ)
→ 1日に”約170Kcal”を節約してしまうタイプ(痩せにくい)
遺伝子検査をしたときに”ADRB3の遺伝子多型”があれば、体重は落としにくいということが分かります。
また、遺伝子多型に問題がないのに体重が落ちない場合は、他に原因があると判断することも可能です。
遺伝子栄養学を知っていれば、適切な栄養学的アプローチが可能になります。
◎FTO
✓「FTO(fat mass and obesity associated 遺伝子)rs1558902とrs9939609」
この”遺伝子多型”を持つ人は、消費カロリーが少ない人、いわゆる”体脂肪が減りづらい人”です。
FTOは、脂肪の代謝にまつわる遺伝子です。
変異型の人は、標準型の人と比べて、高BMIの傾向があります。
※男性の場合25〜30のBMI
まとめると、「UCP1・ADRB3・FTOの遺伝子多型を持つ人は、理論値通りの減量が難しい人」ということになります。
このような人は、理論値よりも摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やさなければ体脂肪は減っていきません。
◎ADRB2(β2アドレナリン受容体)
✓「ADRB2(β2アドレナリン受容体)遺伝子Arg16Gly多型(rs1042713)」
この”遺伝子多型”を持つ人は、消費カロリーが多い人、いわゆる”体脂肪が減りやすい人”です。
ADRB2は、心臓・前立腺・気管支の平滑筋・脂肪細胞に存在しており、脂肪を分解する働きがあります。
ADRB2の遺伝子多型率:日本人の約16%(痩せやすい)
ADRB2を持っていると、基礎代謝と運動で消費される活動代謝が上がりやすくなります。
✓「ADRB2」の”3つのタイプ”
・①野生型
・②変異型(ホモタイプ)
→ 一般の人より、1日に”170Kcal”多く消費する(一番痩せやすい)
・③変異型(ヘテロタイプ)
→ 一般の人より、1日に”40〜60Kcal”多く消費する(痩せやすい)
つまり、ADRB2を持つ方は、先天的に痩せやすいタイプと言えます。
しかし、増量はしにくいタイプとも言えますね。
◎筋肉を増やす遺伝子「ACTN3」
「ACTN3」の遺伝子多型と筋肥大には、相関関係があります。
ACTN3には、RR型・RX型・XX型の”3つ”のタイプがあります。
そして、パワー系の方が遺伝子検査をした結果、RR型とRX型が多いことが分かりました。
つまり、RR型またはRX型の遺伝子の人は、筋肉量を上げやすいポテンシャルがあると言えるでしょう。
■代謝を促進する栄養素「EGCg」
EGCg(エピガロカテキンガレート)は、減量に効果的だと言われています。
その理由の一つは、今回紹介した「遺伝子多型をコントロールする効果があるから」です。
EGCgは、脂肪の蓄積を促進してしまう、UCP1・ADRB3・FTOの発現を抑えてくれます。
逆に、脂肪の燃焼を促す、ADRB2の発現は促進します。
要するに、EGCgには「遺伝子レベルで脂肪燃焼効果がある」ということです。
1日”400〜600mg”を日常的に摂取することで、代謝が起こりやすい体質を作ることができます。
→ オススメの「EGCg」はこちら
■まとめ
今回は、体脂肪に関与する”4つ”の遺伝子を紹介しました。
遺伝子多型を知っておくことで、「適切な栄養学的アプローチが可能になる」ということが理解できたと思います。
自分自身がダイエットをするときや、栄養指導をするときの参考にしてください。
◎要点まとめ
要点まとめ
- ”遺伝子栄養学”を知ることにより、計算では説明できない個人差を科学的に説明できるようになる
- 遺伝子によって消費カロリーに”差”が生じる
- EGCgには「遺伝子レベルで脂肪燃焼効果がある」
✓脂肪の燃焼を妨げる遺伝子多型
- 「UCP1(脱共役タンパク質1)遺伝子A-3826G型(rs1800592)」
- 「ADRB3(β3アドレナリン受容体)遺伝子Trp64Arg多型(rs4994)」
- 「FTO(fat mass and obesity associated 遺伝子)rs1558902とrs9939609」
✓脂肪の燃焼を促進する遺伝子多型
- 「ADRB2(β2アドレナリン受容体)遺伝子Arg16Gly多型(rs1042713)」
✓筋肉を増やす遺伝子多型
- 「ACTN3」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。