トレーニー、マジで気をつけて
この記事を読むと分かること
- 腎臓病ってどんな病気?
- 様々なパターンの腎臓病
- 具体的な栄養学的アプローチ
筋トレ歴6年、2019年JBBFメンズフィジーク”県2位”
栄養の学校NNCやセミナー、書籍、論文などで「栄養学」を学んでいる、栄養オタクトレーニーです。
腎臓病って聞いて「自分には関係ない」と思っていませんか?
そんなあなた、もしかしたら腎臓病にかかっているかもしれません。
日本人の慢性腎臓病の割合は、約13%です。
※約6人に1人
また、腎臓病「自覚症状がない」ことでも有名です。
トレーニーの方は、日頃から高タンパクの食事をしているので、腎臓にかなりの負担をかけています。
ハードにトレーニングしており、高タンパクの食事をしている人は、読んで損はない記事になっています。
■腎臓病ってどんな病気?
腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が炎症を起こし、腎臓の働きが悪くなる病気です。
腎臓は「濾過」をする機能を持っています。
タンパク質を摂取 → 窒素 → アンモニア →尿素 → 尿 →排出
この「尿素 → 尿」の部分が、腎臓の役割です。
◎腎臓に異常があると現れる症状
腎臓病は、初期症状を感じにくい病気です。
たとえば、腎臓病の初期症状に「むくみ」があるのですが、むくみがあっても「腎臓が悪いかも」とはなりませんよね?
「昨日のお酒が原因」「最近塩分を多く摂りすぎている」このように思ってしまうものです。
腎臓病は、特定が非常に難しい病気なのです。
☆腎臓が悪いと出る症状
- タンパク尿
- 血尿
- むくみ
- 尿の量が減少
- ホルモン分泌量の減少
■腎臓病には様々なパターンが存在する
ひとこと「腎臓病」と言っても、原因や症状は一つではありません。
ですので、「あれ、これって腎臓病かな?」と感じた時点で、すぐに病院に行って原因を特定することをオススメします。
特に、ハードに筋トレをしているトレーニーは、普段から腎臓に負担をかけるような、高タンパクの食事をしているので注意が必要です。
◎腎臓病の6つの「パターン
☆原発性糸球体疾患
腎臓内部の濾過機能の役割を担っている糸球体が炎症を起こしている
全体の95%を占める
血尿・タンパク尿などの症状が断続的に続く
毎日ずっと続くわけではないので、「健康診断のときだけ数値が低い」なんてこともある
特定が難しく、原因も不明瞭
☆続発性糸球体疾患
原発性糸球体疾患の次に多いのが、この続発性糸球体である
腎臓そのものに原因があるのではなく、腎臓以外の部分が原因で副次的に起こる症状
☆ネフローゼ症候群
大量のタンパク質が尿に出てしまう症状
特に子供に多い
☆急性腎障害
一般的な腎臓病は、慢性的に徐々に症状が悪化することが多い
しかし、急性腎障害の場合、数日〜1ヶ月ほどで進行し、結石詰まりや水分不足で尿が作れなくなり発症する
死亡率が最も高い
☆慢性腎臓病、慢性腎不全
時間をかけて徐々に症状が現れる
■栄養学的アプローチ【予防・改善方法】
腎臓病には、様々なパターンがあると紹介しました。
ですので、もし「腎臓病かな?」と感じたら、すぐに病院に行きましょう。
ここでは、日本人13%が発症している「慢性腎臓病」に対するアプローチを紹介します。
◎推算糸球体濾過量(eGFR)
推算糸球体濾過量(eGFR)は、アンモニア・尿などの不純物を濾過する能力を表す数値です。
※ 年齢、性別、クレアチニン値で測定可能(WEBで計算式が出ている)
厚生労働省でも言われている、改善すべき数値の目安で使われます。
ステージは、5段階に分かれています。
☆推算糸球体濾過量(eGFR)とステージ
eGFR区分(ml / 分 / 1.73㎡)
G1 | 90以上 |
G2 | 60〜89 |
G3a | 45〜59 |
G3b | 30〜44 |
G4 | 15〜29 |
G5 | 15未満 |
◎ステージがG1〜G2の方の「3つの注意点」
慢性腎臓病のステージがG1〜G2の、軽めの方には3つの注意点があります。
☆タンパク質摂取量
タンパク質を多く摂ると、アンモニアを尿として排出するサイクルが活発になり、腎臓に負担をかける
なので、タンパク質の摂取量は、『体重未満 × 約1.3g』に抑えるべき
トレーニーの方は少ないと感じるが、健康のほうが大事
1.3倍でも筋肥大しないわけじゃない
☆エネルギーの摂取量
『体重 × 30kcal』が目安にするべきカロリー
体重70kgの場合:70 × 30 =2,100kcal
摂りすぎ、摂らなさすぎ、どちらも良くない
☆塩分摂取量
1日『3〜6g』が目安の摂取量
症状は人それぞれ異なるので、医者と相談すべき
◎ステージがG3〜G5の方の「2つの注意点」
慢性腎臓病のステージがG3〜G5の重度の方には、上記の3つにプラスして、さらに2つの注意点があります。
それが「カリウム・リンの制限」と「水分摂取量の管理」です。
これは、病院でお医者さまと相談して決める必要があります。
■まとめ【健康第一】
栄養指導するときに、クライアント全員に高タンパクの食事を勧めるのは危険です。
確率的には、日本人13%は腎臓に疾患を抱えているので、かなりのリスクがあります。
ですので、ヒアリングをして、栄養指導をするようにしましょう。
腎臓病は自覚しにくいので、栄養指導する側の知識が重要になります。
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
☆腎臓病の症状
- タンパク尿
- 血尿
- むくみ
- 尿量の減少
- ホルモン分泌量の減少
☆腎臓病の予防・改善方法
- タンパク質の摂取量の制限
- エネルギーの摂取量の確保
- 塩分摂取量の制限
- カリウム・リンの摂取量の制限
- 水分摂取量の管理
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。