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『ナトリウム不足』は筋トレに悪影響!ミネラルで最も重要な『ナトリウム』とは

✔︎ この記事で解決できるお悩み

• ナトリウム不足が筋トレに悪影響を与えるってほんと?

•「ナトリウム」と「塩」の違いが知りたい!

• ナトリウムって身体でどんな働きをしてるの?

•「ナトリウム」や「塩」はどれくらいの量を摂ったらいいの?

趣味筋肉
こんな悩みを解決できる記事を書きました。

今回の記事は、筋肉博士”山本義徳”先生の書籍『アスリートのための最新栄養学(下)』を参考にしています。

 

この記事では『知っておいた方が良いナトリウムの基本知識』を解説しています。

ミネラルといえば、「カルシウム」や「鉄」がよく知られますが『人間に最も重要なミネラルは”ナトリウム”』です。

 

この記事を読んで、サクッとナトリウムについて理解しましょう!

 

ミネラルで最も重要な『ナトリウム』とは

 

ナトリウムは、人間の身体に必要な、『16種類の必須ミネラル』のひとつです。

 

ナトリウムは、体内に「100g程度」含まれています。

主に”細胞の外側に存在”し、『細胞内外のミネラルのバランスを保つため』に使われています。

 

「食塩(塩化ナトリウム)」「重炭酸塩」「リン酸塩」として、体内に存在します。

「約50%は”細胞外液中”」に、「40%は”骨格”」に存在し、「残りは”細胞内液中」”に含まれています。

 

ナトリウムは、ドイツ語で「Natorium」、英語だと「Sodium」です。

ですので、ラベルに書かれている、「ナトリウム」と「ソディウム」は同じものです。

 

「ナトリウム」と「塩」の違いってなに?

「ナトリウム」=「塩」だと思っている人は多いんじゃないでしょうか?

 

ですが、「ナトリウム」は「塩」の一部であり、イコールではありません。

(塩化ナトリウム)」=「ナトリウム(Na)」+「塩素(CL)」です。

 

食品や飲料のラベルに、「ナトリウム〇〇mg」「食塩相当量〇g」と、書いてあるものを見たことあると思います。

これは、『”塩”が水に溶けると”ナトリウム”になる』ため「食塩相当量」になっています。

”塩分制限をしている人”が分かりやすいように「食塩相当量◯g」という表記があるのです。

 

ちなみに、ナトリウムは「mg」、食塩は「g」で表記する決まりになっています。

 

「ナトリウム」と「塩」の計算方法

繰り返しになりますが、「塩」=「ナトリウム+塩素」です。

そして、ナトリウムの原子量は「23」、塩素の原子量は「35.5」です。

 

「塩(58.5)」÷「ナトリウム(23)」≒「2.54」

つまり、『ナトリウムに”2.54を掛ける”』と「塩の量」になります。

 

たとえば、ナトリウム1,000mgの場合

「1,000mg(ナトリウム)」×「2.54」= 「2,540mg(塩)」になります。

 

最も重要な働きの『ナトリウムポンプ』とは

 

「ナトリウムポンプ」に重要な栄養素は「ナトリウム」と「カリウム」です。

 

ナトリウムはドイツ語で「Natrium」で、英語だと「Sodium(ソディウム)」で

カリウムはドイツ語で「Kalium」で英語だと「Potassium(ポタシウム)」です。

 

これら2つのミネラルが、生命活動の主役たる『ナトリウムポンプを働かせている』のです。

 

ナトリウムポンプの「働き」

人間の身体は、『ATPをエネルギーにして』動いています。

ですが、その大事なATPのうち『”3分の1”〜”4分の1”は、ナトリウムポンプの動力として』使われています。

 

そして、そのナトリウムポンプの主な働きは「情報伝達」です。

細胞の中は「カリウム」が多く存在し、細胞の外は「ナトリウム」が多く存在しています。

この状態は、ナトリウムポンプによって保たれています。

 

そして、カリウムとナトリウムが細胞の内外を、行ったり来たりするときに「活動電位」が発生して、情報伝達が行われます。

※情報伝達とは:細胞の浸透圧の調整、神経の興奮伝達、小腸や尿細管で栄養が吸収されるなど

 

つまり、ナトリウムやカリウムが不足して、ナトリウムポンプが働かないと、『細胞の浸透圧が調整できないため、細胞が膨れ上がって破壊される』ということです。

そうすると、『栄養素も吸収できない』ということになります。

 

ですので、「ナトリウム」は”1番重要なミネラル”といえます。

 

ミネラルといったら「カルシウム」や「鉄」を思い浮かべますが、それ以上に重要なのが「ナトリウム」と「カリウム」なのです。

 

「ナトリウム」「塩」の効果

• (1)浸透圧水分の量を調節する

• (2)自発的脱水を防ぐ

• (3)体内のpHを一定に保つ

• (4)消化を促進してくれる

それでは、ひとつずつ解説していきますね。

 

(1)浸透圧や水分の量を調節する

体調が悪くなったり、疲労がたまったりしたときに打つ「点滴」

この主な成分は「ブドウ糖」と「生理食塩水」です。

 

生理食塩水は、「細胞外液の浸透圧と同じ」になっています。

これが「ただの水」だと、『細胞内液との浸透圧のバランスが崩れ、脱水や尿毒症』を引き起こします。

 

つまり塩分は、「体内の浸透圧」や「水分の量」を調整する働きがある、ということです。

 

(2)自発的脱水を防ぐ

夏場に運動をして、大量の汗をかいたとします。

このとき、『汗と一緒にナトリウムも排出』されています。

 

汗の成分のうち、「0.05〜0.5%」が塩分です。

たとえば、「1kgの汗」をかいた場合「0.5g〜5g」の塩分が、体から抜けてしまうということです。

 

このタイミングで『ただの水を大量に飲むと、体内のナトリウム濃度が一気に低下』します。

これは問題なので、『逆に体内の水の排出を増やして、体液を濃くしよう』と働きます。

この現象を「自発性脱水」といいます。

 

つまり、「ただの水」は飲めば飲むほど、自発性脱水により、体内から水分が抜けていくということです。

 

(3)体内のpHを一定に保つ

体内のナトリウムの一部は、重炭酸塩になり、pHを一定に保つ働きをします。

※「pH」とは:体液が、酸性かアルカリ製なのかを表す尺度

 

トレーニングをすると、乳酸やピルビン酸、脂肪酸などの「酸」がpHを下げようとします。

ですので、『ナトリウムを摂取して、pHを一定に保つ必要』があります。

 

トレーニングやストレスは、「コルチゾールを分泌」します。

コルチゾールには、水分や塩分を排出する作用もあります。

汗で排出されるナトリウムのことも考えて、トレーニングしている人は、普通より多めに塩分を摂取しても全く問題はありません。

 

(4)消化を促進してくれる

消化を促進してくれる「胃酸」は、「塩酸」からできています。

この塩酸は、食事で摂取する「塩分(塩化物ナトリウム)」を主な原料にしています。

 

夏バテになると、「食欲」もなくなります。

これは、『大量に水を飲むことにより、体内のナトリウム濃度が低下し、胃酸がつくられなくなるため』です。

ですので、夏場で食欲がないときは、お味噌汁などを多めに飲んで、塩分を補給しましょう。

 

さらに、「膵液」や「胆汁」などの消化酵素も、塩を原料にしています。

つまり、「食欲増進」だけでなく、「消化を促進」する効果もあるということです。

 

ナトリウムと「血圧」の関係

 

塩分を摂りすぎると、血圧が上がる』というのは、誰でも知っていることだと思います。

ではなぜ「塩分を摂ると血圧が上がるのか?」

ここからは「塩分」と「血圧」について解説していきます。

 

健康リテラシーが高い人でも”目からウロコ”なこともあると思います。

 

塩を摂ると「血圧が上がる理由」とは?

塩分を摂ると、『血液中の”塩分濃度”が上がります。』

そうすると、それを薄めるために、『血液中に水分を送って血液量を増やします。』

そして、増えた血液を運ぶために、『心臓は圧力を高める必要があるため、血圧が上がる』ということです。

 

ですので、「塩分を摂ると血圧が上がる」といわれているのです。

 

しょっぱい物を食べると、喉が乾き水分が欲しくなるのは、このためです。

 

『食塩感受性高血圧』とは?

日本人は、「食塩を多く摂ると高血圧になりやすい」といわれています。

食塩によって、高血圧になりやすいタイプのことを『食塩感受性高血圧』といいます。

 

「食塩感受性高血圧」を簡単に説明します。

食塩を摂取することで「交感神経が興奮」します。

交感神経が興奮すると、それが遺伝子を装飾して、ナトリウムの排出が抑えられます。

その結果、「血圧が高くなる」ということです。

 

逆にいうと、ナトリウムが少ないときは、「交感神経が興奮しにくい」ということです。

ですので、アスリートがナトリウムを制限すると、パワーが落ちてしまいます。

 

ちなみに『食塩感受性の遺伝子を持つ人』は、日本人の「20」だそうです。

そして、「50%」の人は、塩分を摂取してもしなくても”血圧には影響しない”といわれています。

要するに、『”塩分”と”血圧”の関係は遺伝で決まっている』ということです。

 

ナトリウムや塩の「摂取量」

厚生労働省が定める「塩」の推奨摂取量

男性:「8g未満」

女性:「7g未満」

日本人の1日の平均食塩摂取量:「9〜11g」

 

2014年の論文で、ナトリウムの1日の排泄量が「7,000mg(食塩換算17.8g)」を超えると、心臓血管系疾患のリスクが「15%」増加することがわかっています。

逆に、ナトリウムの1日の排泄量が「3,000mg(食塩換算7.6g)」より少ないと、心臓血管系疾患のリスクが「27%」増加しています。

 

ですので、『日本人の食塩摂取量”9〜11g”はちょうど良い』といえます。

 

そして、筋トレをしている人は、汗を大量にかくので、「ナトリウム」や「塩」を少し多めに摂取するとよいでしょう。

日本体育協会では、熱中症予防のために『100mlあたり”0.1〜0.2%”の食塩』を含んだ飲料を推奨しています。

ですので、筋トレ中に飲む1リットルのドリンクに、ナトリウムなら「400〜800mg」、食塩なら「1〜2g」程度を混ぜて飲むようにすると良いでしょう。

 

→ オススメの非精製の塩、沖縄の「ぬちまーす」宮古島の「雪塩」

 

筋トレしてる人は「減塩」なんか気にする必要なし!

 

ここまで、「ナトリウム」「塩」について解説してきました。

「ナトリウム」や「塩」は、人間の生命活動にとても重要な働きをしていることが分かったと思います。

 

13件の論文を参考にしたメタ・アナリシスによると、『減塩しても血圧を下げる効果なし』との結果が出ています。

ですので、『食塩感受性のある20%に属さない限り』、減塩は気にする必要はありません。

「塩分」と「血圧」の関係は遺伝で決まっています。

 

そして、塩分不足では、筋トレの効果も落ちてしまいます。

しっかり「ナトリウム」や「塩」を摂って、充実した筋トレライフを送りましょう!

 

必須ミネラルの『カルシウムについて』はこちら

必須ミネラルの『マグネシウムについて』はこちら

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趣味筋肉(しゅみきん)

筋肉・栄養オタク|2019年JBBFメンズフィジーク県2位|フィットネスライター|筋トレ初心者でも”即実践可能な栄養学”を発信|健康的にバルクアップ・ダイエットしたい人向けの栄養記事を書いてます!|月間1.5万PV以上

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