✔︎ この記事で解決できるお悩み
• タンパク質って何からできてるの?
• 体内には、どんな種類のタンパク質があるの?
• 大量に摂ったタンパク質は、体内でどのように消化吸収されるの?
• タンパク質の過剰摂取は存在しないってほんと?
今回の記事は、筋肉博士”山本義徳”先生の書籍『アスリートのための最新栄養学(上)』を参考にしています。
この記事では、主に『大量に摂取したタンパク質は、体内でどのように使われているのか』を解説しています。
ほかにも、”意外と知らない”タンパク質についても知ることができます!
この記事を最後まで読んで『タンパク質の基礎知識』をサクッと理解しましょう!
「タンパク質」の語源はギリシャ語の『もっとも大切なもの』
人間が生きていくうえで欠かせない栄養素
•「炭水化物」
•「タンパク質」
•「脂質」
•「ビタミン」
•「ミネラル」
これらをまとめて「五大栄養素」といいます。
この中でも、特に重要な栄養素が「タンパク質」です。
タンパク質は、英語で「Protein(プロテイン)」といいます。
ですが、この「Protein」という言葉は、ギリシャ語の「Proteus」(もっとも大切なもの)が語源となったものです。
1838年、オランダの”ゲラルド・ムルダー”は卵白や牛乳、小麦粉、骨粉を調べているときに、よく似ている化学的組成の物質があることに気づきました。
そして、この物質を「もっとも大切なもの(Proteus)」と名づけました。
ちなみに、タンパク質は、漢字で書くと「蛋白質」です。
この「蛋」は「卵」を意味しています。
卵は「完全栄養食」ともいわれていますね。
「CHO(チョー)」と「CHON(チョン)」
上記で「五大栄養素」について触れましたが、その中の「炭水化物」「脂質」「タンパク質」の3つのことを「三大栄養素」といいます。
このうち、炭水化物と脂質は、「炭素(C)」と「水素(H)」と「酸素(O)」を材料につくられています。
ですので、炭水化物と脂質は「CHO(チョー)」という名前で覚えてください。
そして、この「CHO」に「窒素(N)」を加えた「CHON(チョン)」がタンパク質になります。
ただし、タンパク質には「硫黄(S)」が含まれるものがあります。
ですので、正確には、タンパク質は「CHONS(チョンズ)」になります。
炭水化物と脂質の「CHO」は、「炭素(C)」と「水素(H)」と「酸素(O)」からできているので、「二酸化炭素(CO2)」と「水(H2O)」になることができます。
ですので、余計なものを出さずに、キレイに分解されます。
ですが、タンパク質の「CHONS」は、「窒素(N)」や「硫黄(S)」があるため、老廃物ができてしまい、代謝が複雑になります。
ちなみに、プロテインを飲むと『おならが臭くなる』のは、タンパク質に含まれる「硫黄(S)」が主な原因です。
筋トレを始めてから、体臭が気になる人はこちら→ 『プロテインを飲むと体臭がきつくなる?!』
ポイント
• 炭水化物、脂質 →「CHO(チョー)」
• タンパク質 →「CHONS(チョンズ)」
体内のタンパク質の種類
•(1)「収縮タンパク質」
•(2)「輸送タンパク質」
•(3)「構造タンパク質」
•(4)「酵素」や「ホルモン」など
それでは、ひとつずつ簡単に解説しますね。
(1)「収縮タンパク質」
収縮タンパク質とは、筋肉を収縮させる「アクチン」や「ミオシン」のことです。
1番身近なタンパク質ですね。
筋肉の中に存在するタンパク質です。
(2)「輸送タンパク質」
輸送タンパク質の代表的なものは「ヘモグロビン」です。
ヘモグロビンは、酸素を運搬しています。
このように小さい分子やイオンを運搬するものを「輸送タンパク質」といいます。
記憶にも関わるとされている、「キネシン」や「ダイニン」なども輸送タンパク質です。
(3)「構造タンパク質」
構造タンパク質は、人間の身体に最も多く存在するタンパク質の「コラーゲン」のことをいいます。
コラーゲンは、細胞同士の接着剤のような役割や、骨や歯の材料になります。
ほかにも、肌や髪、爪などもコラーゲンが材料となっており、老化を防いでくれる効果もあります。
(4)「酵素」や「ホルモン」など
消化酵素や代謝酵素、抗酸化酵素などの「酵素」は、タンパク質からできています。
成長ホルモンやステロイドホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの「ホルモン」も、タンパク質を材料にしています。
ほかにも、目の水晶体の主要成分の「クリスタリン」や、免疫グロブリンなどの「生体防御タンパク質」、ロトプシンなどの「受容体タンパク質」なども、タンパク質からできています。
タンパク質は最終的に「アミノ酸」まで分解される
たとえば、焼肉の食べ放題に行って「お肉1kg」を食べたとします。
「お肉1kg」から摂れるタンパク質は「200g」くらいです。
この「タンパク質200g」は、どのような運命をたどるのでしょうか?
「タンパク質」から「アミノ酸」になるまで
口の中で、噛み砕いたお肉は「胃」にいきます。
お肉が胃に行くと、「胃酸」の強い酸によって、お肉は分解されやすい状態まで変性します。
そして、分解されやすくなった、お肉に消化酵素の「ペプシン」が働いて、「ペプチド鎖」にまで分解されます。
ペプチド鎖は小腸に送られ、そこでさらに膵液中の「トリプシン」や「キモトリプシン」などの消化酵素が働きます。
さらに、小腸粘膜の膜消化酵素である「アミノペプチターゼ」や「トリペプチターゼ」が働き、ペプチド鎖はさらに細かくされます。
そして、各種トランスポーター(運搬体)によって小腸の壁を抜けて、「ペプチド」または「遊離アミノ酸」として、細胞に送られていきます。
「胃の大きさ」≒「消化吸収できる量」
肉や魚、卵を食べたときの”消化率”は「95%以上」だとされています。
ですので、大量にタンパク質を食べてとしても、『ほとんど消化吸収される』ということです。
人間の身体はうまくできていて、胃に入りきらない量でない限り、ムダなく消化吸収することができます。
「胃の大きさ」≒「十分に消化吸収できる量」ということになります。
ちなみに、お肉を50g食べた場合、血中アミノ酸濃度がMAXになるまでに『2時間ほどかかる』ようです。
EAAやBCAAなどの、アミノ酸で摂取した場合、血中アミノ酸濃度は『15〜20分程度』でMAXになります。
タンパク質は体内で”3つ”のルートに分かれる
上記で説明したように、かなり大量のタンパク質であっても、しっかり消化吸収されます。
大量に摂取したタンパク質のすべてが、筋肉の成長に使われればよいのですが、そんなことはありません。
『必要としないタンパク質は、少し複雑な経路で代謝』されていきます。
✔︎『タンパク質がたどる”3つのルート”』
•(1)アンモニアから尿素になって排出される
•(2)脂肪に変換される
•(3)ほかのアミノ酸に変換される
ひとつずつ、解説していきますね。
(1)アンモニアから尿素になって排出される
最初に説明しましたが、タンパク質には、「窒素」が含まれています。
この窒素は、体内で「アンモニア」に変わります。
アンモニアは身体に有毒なので、無毒の「尿素」に変換されて、体外に排出されます。
このときに、肝臓や腎臓に負担がかかります。
プロテインを飲み始めると、血液検査の数値が悪くなるのは、『アンモニアが原因のひとつ』になっています。
※腎臓や肝臓に問題のない人なら、身体はすぐに慣れるので数値は元に戻ります。
(2)脂肪に変換される
タンパク質(アミノ酸)は、糖質に変換されたり、アセチルCoAに変換されたりします。
これらは最終的には「脂肪」になり、「体脂肪」として蓄積されます。
つまり、タンパク質も摂りすぎると、『体脂肪を増やしてしまう』ということです。
(3)ほかのアミノ酸に変換される
食事で摂取したアミノ酸が余ると、アミノ酸から「アミノ基」が取り出されて、『他のアミノ酸(特にグルタミンやアラニン)に変換』されます。
このときに「アミノ基移転酵素」が必要になります。
このアミノ基移転酵素をつくるために「ビタミンB6」が必要になります。
ですので、タンパク質を大量に摂取している人は、「ビタミンB6」を大量に摂取する必要があります。
タンパク質に「過剰摂取」は存在しません!
ここまでの、解説で『タンパク質の基礎知識』はバッチリだと思います。
厚生労働省も、『タンパク質の過剰摂取による、”健康障害の根拠”となる報告は存在しないから、耐用上限量は定めない』といっています。
これらのことからも分かるように、一部の人をのぞいて、タンパク質の過剰摂取は存在しません。
それでは、最後に簡単にまとめておきましょう!
まとめ
• 「Protein(プロテイン)」は、ギリシャ語で「Proteus(もっとも大切なもの)」という意味
• 炭水化物、脂質 →「CHO(チョー)」
• タンパク質 →「CHONS(チョンズ)」
• 「胃の大きさ」≒「十分に消化吸収できる量」
• タンパク質に「過剰摂取」は存在しない
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事が、あなたの役に立つことができたなら幸いです。