仙豆の主成分は、おそらく「イミダゾールペプチド」
この記事を読むと分かること
- 抗疲労物質「イミダゾールペプチド」とは?
- イミダゾールペプチドの「効果」
- βアラニン単体でもいいのでは?
筋トレ歴6年、2019年JBBFメンズフィジーク”県2位”
栄養の学校NNCやセミナー、書籍、論文などで「栄養学」を学んでいる、栄養オタクトレーニーです。
トレーニーの主なタンパク源「鶏むね肉」
「鶏むね肉は高タンパク低脂質なだけでなく、疲労回復の効果もある」
こんなこと聞いたことありませんか?
これは、鶏むね肉に含まれる「カルノシン」という「イミダゾールペプチド」の効果です。
この記事では、疲労回復の効果がある「イミダゾールペプチド」を分かりやすく解説しています。
ハードにトレーニングをしている、最近疲れが溜まっているという人は、読んで損はない記事です!
■最強の抗疲労物質「イミダゾールペプチド」とは?
イミダゾールペプチドは、「イミダゾール『ジ』ペプチド」です。
『ジ』なので、2つのアミノ酸からできてるアミノ酸ということですね。
※「モノ」→ 1つ、「ジ」→ 2つ、「トリ」→ 3つ
イミダゾールペプチドは、「βアラニン」と「ヒスチジン」という2つのアミノ酸から組成されます。
「βアラニン」は少し前まで、食品扱いではありませんでしたが、食薬区分の改定でサプリとしても使うことが可能になりました。
また、国際スポーツ栄養学会(ISSN)では「βアラニンは安全で効果あり」と位置づけているエビデンスのある栄養素です。
→ 国際スポーツ栄養学会(ISSN)「筋トレとサプリメントの報告」
そして「ヒスチジン」は、体内で合成することができない、9種類の必須アミノ酸のうちの1つです。
◎イミダゾールペプチドは体のある部分に存在する
何千kmも飛び続ける必要のある「渡り鳥」は、なぜあんなにスタミナがあるのか?
これを調べた結果、渡り鳥の羽の付け根に「イミダゾールペプチド」という物質が含まれていることが分かりました。
イミダゾールペプチドが「スタミナの役に立っているのでは?」ということで研究が進み、現在では抗疲労の効果があると実証されています。
つまり、たくさん動かす・使う場所に、スタミナの役に立つイミダゾールペプチドが多く存在しているということです。
◎企業だけでなく「産・官・学」での研究結果
「イミダゾールペプチドには、抗疲労の効果がある」と結論づけたのは、一企業での研究ではありません。
「産・官・学」が協力した上での研究結果です。
※ 産(企業)、官(行政)、学(学校)
元々、抗疲労の研究対象候補は、23種類ありました。
その中から、抗疲労の観点で研究対象が徐々に絞られていき、最終的に「イミダゾールペプチド」が残ったのです。
「産・官・学」の研究で、最終選考を勝ち抜いた「イミダゾールペプチド」は、最強の抗疲労物質と言えるでしょう。
■3種類のイミダゾールペプチド
イミダゾールペプチドは「βアラニン+ヒスチジン」ですが、ヒスチジンの部分が動物によって異なるため、名称も違います。
イミダゾールペプチドの種類は3つです。
- 魚・鳥など小動物に含まれる「アンセリン」
- 人間・馬・豚など大きな動物に含まれる「カルノシン」
- クジラに含まれる「バレニン」
◎動物によって組成が異なる
繰り返しになりますが、イミダゾールペプチドは「βアラニン+ヒスチジン」です。
βアラニンの部分は、どの動物でも同じですが「ヒスチジン」の部分は動物によって組成が異なります。
- アンセリン(小動物):「メチルヒスチジン」
- カルノシン(人間など大きな動物):「L-ヒスチジン」
- バレニン(クジラ):「トリメチルヒスチジン」
ヒスチジンの種類は異なるとは言ったものの、アンセリンもカルノシンもバレニンも、そこまで効果に差はないので気にしなくて大丈夫です。
3種類は”ほぼ同じ機能”を持っています。
◎イミダゾールペプチドの主な「効果」
イミダゾールペプチドの一番の効果は「抗疲労」効果です。
疲労は、肉体的疲労と中枢性疲労が連動して発生するものです。
「脳」が疲れれば「体」も疲れる、逆もまた然り。
しかし、イミダゾールペプチドは、どちらに対しても役に立つので「抗疲労効果がある」と言えるのです。
イミダゾールペプチドの「抗疲労」の詳しいメカニズムは解明されていませんが、間違いなく持っている「抗酸化能力」が疲労回復に役立っていると言われています。
→ 関連記事「老化の原因になる『酸化』とは」
◎そのほかの「効果」
イミダゾールペプチドには「抗疲労効果」以外にも、さまざまな効果があります。
- 糖化を防ぐ「抗糖化作用」
- 痛風の原因になる「尿酸」の排泄を促進
- 「乳酸」を溜めにくくする
- 体内の「pH」が酸性に傾くのを抑える など
これらの効果も、運動をする上で「疲労感の軽減」の要因になっています。
◎イミダゾールペプチドの「摂取量」
イミダゾールペプチドの摂取量は、1日に「2〜3g」です。
2〜3gならサプリメントで摂らなくても、食事からでも簡単に摂ることができます。
鶏むね肉100gあたりにイミダゾールペプチドを1g程度含んでいるので、毎日鶏むね肉を200〜300g食べればいいだけです。
「鶏むね肉を毎日食べるのはしんどい」
このような人は、豚肉やカツオなんかにもイミダゾールペプチドは多く含まれているので、他の食材から摂れば大丈夫です。
☆カルノシンとアンセリンの含有量一覧
食品の種類と(部位) |
カルノシンの含有量(mg/100g) |
アンセリンの含有量(mg/100g) |
カルノシンとアンセリンの総含有量(mg/100g) |
牛(もも) |
262 |
3 |
265 |
豚(ロース) |
899 |
29 |
928 |
豚(もも) |
806 |
27 |
833 |
鶏(胸) |
432 |
791 |
1223 |
鶏(もも) |
153 |
315 |
468 |
カツオ |
252 |
559 |
811 |
◎「βアラニン」単体でもいいのでは?
イミダゾールペプチドとして摂取しなくても「βアラニン単体」でもいいのでは?
結論から言うと、タンパク質をしっかり摂っている人ならβアラニン単体でもOKです。
タンパク質をしっかり摂れていれば、体内の「ヒスチジン」が不足することはありません。
ですので、βアラニン単体でも、十分な効果を得ることができるでしょう。
→ 関連記事「筋トレのパフォーマンスを上げるベータアラニンとは?」
■まとめ【やっぱり鶏むね肉は最強】
今回は、最強の抗疲労物質「イミダゾールペプチド」を紹介しました。
「鶏むね肉は、高タンパク低脂質なだけでなく、疲労回復の効果もある」
この意味は理解できましたか??
イミダゾールペプチドは、食材から簡単に摂取できる最強の”高疲労”物質です。
どうしても「鶏むね肉」を食べたくないという人でなければ、毎日鶏むね肉を食べることをオススメします。
◎「要点まとめ」
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- イミダゾールペプチドは、最強の抗疲労物質
- βアラニンは安全で効果ありと結論づけられている
- 「アンセリン」「カルノシン」「バレニン」どれでも効果はほぼ同じ
- 鶏むね肉を毎日200〜300g食べれば、十分な効果を得ることができる
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。