ケトジェニック 栄養学

【ケトン体】ケトジェニックダイエット以外での3つの働き

 

この記事を読むと分かること

・ケトン体の概要

・ケトン体の代表的な作用

・エネルギー供給以外の働き

 

趣味筋肉
栄養学を学べる日本一の学校NNC・セミナー・書籍・論文などで「栄養学」を学んでいる、栄養オタクトレーニー、趣味筋肉(しゅみきん)です。

筋肉7年目、2019年JBBFメンズフィジーク”県2位”

 

「ケトン体」と聞くと、「ケトジェニックダイエットの際のエネルギー供給源」ということは、理解している人は多いと思います。

 

しかし、「エネルギー供給以外の働きは?」と聞くと、ほとんどの人が答えられないと思います。

 

この記事では、ケトン体の「エネルギー供給以外の働きを3つ」ほど解説しています。

 

「ケトン体のエネルギー供給以外の働きを3つ答えよ」

 

記事を読み終えると、このような問いにパッと答えられる栄養学オタクになれますよ。。。

 

ケトン体の働きに興味がある栄養学オタクの人は、ぜひ最後まで読んでみてください!!

 

■ケトン体とは?

 

ケトン体とは、脂肪の合成や分解における中間代謝物のことです。

 

体内の糖質(グルコースが)が少なくなってきたときに、”緊急用のエネルギー源”として働くことで知られています。

 

そして、ケトン体をメインのエネルギー源にして行うダイエット方法が、ケトジェニックダイエットです。

 

»【関連記事】ケトジェニックダイエット入門書

 

◎代表的なケトン体

 

・アセト酢酸

・3−ヒドロキシ酪酸

・アセトン

 

アセトンは、体内で増えすぎると不具合が生じるため、基本的には「アセト酢酸」と「3-ヒドロキシ酪酸」がメインになってきます。

 

»【関連記事】ケトン体そのもの?ケトジェニックダイエットで摂るべき「BHB」とは?

 

◎ケトン体が合成されるメカニズム

グルコース供給の枯渇
(グルコース:血液中に10〜20g)

  ↓

グリコーゲン供給の枯渇
(グリコーゲン:肝臓に100g前後、筋肉に300〜400g)

  ↓

中性脂肪の分解
(脂肪酸が血液中に放出)

  ↓

アルブミンと結合

  ↓

幹細胞でカルニチンと結合
(アシルLカルニチンになる)

  ↓

ミトコンドリア内でアセチルCoAになる

  ↓

アセチルCoAから「ケトン体(アセト酢酸)」を合成
(アセト酢酸から、3-ヒドロキシ酪酸・アセトンが作られる)

  ↓

血液中に放出され、必要な部位(肝臓・脳)で代謝(エネルギー化)される
(グルコース:血液中に10〜20g)

 

血糖値が下がり、グルコースが枯渇し、体内でケトン体が増えて使える状態を「ケトーシス」と言います。

(血液1リットルあたりのケトン体:200マイクロモル)

 

このケトーシスが、さらに酸性に傾き過ぎた状態を「ケトアシドーシス」と言います。

(血液1リットルあたりケトン体:7,000マイクロモル)

放っておくと気を失ったり、最悪の場合、死に至ったりすることもあるので注意が必要です。

 

■エネルギー供給以外のケトン体の働き

 

近年、ケトン体の研究が進んでおり、一番有名な働きの”エネルギー供給”以外にも、ポジティブな働きをすることが分かってきています。

 

エネルギー供給以外の働き

①ヒドロキシ酪酸の「抗炎症作用」

②ヒドロキシ酪酸の「腎臓保護作用」

③アセト酢酸の「睡眠の質の向上効果」

 

一つずつ、解説します。

 

①ヒドロキシ酪酸の「抗炎症作用」

参考:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201906_02.html

 

細胞死には「受動的な細胞死」「プログラム化された細胞死」があります。

 

◇「受動的な細胞死」

✓ネクローシス:細胞の膨張、細胞膜の破壊、細胞内容物の放出など

※転んで膝をすりむいたときなど

炎症が起こる

 

 

◇「プログラム化された細胞死」

✓アポトーシス:細胞全体の萎縮、DNAの断片化

※細胞の寿命

 

パイロトーシス:細胞死の際に、IL-1βやIL-18などの炎症性物質を産生する

※「細胞が死んだ」と周囲の細胞に知らせるため

炎症が起こる

 

ヒドロキシ酪酸は、このパイロトーシスを抑えられるため”抗炎症作用”があると言われている。

 

②ヒドロキシ酪酸の「腎臓保護作用」

参考:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201906_02.html

 

「腎虚血再灌流障害(じんきょけつさいかんりゅうしょうがい)」

→ 過度に”活性酸素”が増えると発生する症状

 

これが起こると、一時的に腎臓の血流が遮断され、元に戻すときに、虚血状態なので低酸素状態になる。

低酸素状態になると、腎臓に対して負担がかかり、腎不全のような疾病の原因になってしまう。

 

ヒドロキシ酪酸を摂取することにより、ヒストンアセチル化を亢進させることができるため、IL系の炎症性物質やパイロトーシスを抑制し、腎機能を改善できる。

 

③アセト酢酸の「睡眠の質の向上効果」

 

✓睡眠の質を上げるメカニズム

軽度睡眠不足

  ↓

AMPK・PPARαを亢進
(眠たいときエネルギーを供給する方向に進む)

  ↓

ケトン体の合成促進
(アセト酢酸が増える)

  ↓

アセト酢酸濃度の上昇
(脳内)

  ↓

グルタミン酸の放出を抑制
(交感神経系が抑えられる)

  ↓

ノンレム睡眠の深度に作用
(ノンレム睡眠:深い睡眠)

 

しかし、この研究は、人間ではなくマウスでの実験なので今後に期待

 

■まとめ

 

今回は、ケトン体の働きについて解説しました。

 

ケトン体は、エネルギー供給以外にもさまざまな働きを持っています。

 

まだ、研究段階ではありますが、抗炎症・腎臓保護・睡眠の質を改善したい人は、ケトン体を摂取してみるのもありかもしれません。

 

»【関連記事】ケトン体そのもの?ケトジェニックダイエットで摂るべき「BHB」とは?

 

要点まとめ

✓代表的なケトン体の種類

・アセト酢酸

・3−ヒドロキシ酪酸

・アセトン

✓エネルギー供給以外での働き

①ヒドロキシ酪酸の「抗炎症作用」

②ヒドロキシ酪酸の「腎臓保護作用」

③アセト酢酸の「睡眠の質の向上効果」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。

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筋肉・栄養オタク|2019年JBBFメンズフィジーク県2位|フィットネスライター|筋トレ初心者でも”即実践可能な栄養学”を発信|健康的にバルクアップ・ダイエットしたい人向けの栄養記事を書いてます!|月間1.5万PV以上

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