日本人女性の約半分は「貧血」
この記事を読むと分かること
- 貧血の種類
- かくれ貧血とは?
- 鉄の代謝のメカニズム
- 貧血を改善するための栄養学的アプローチ
- めまいがする
- 氷や飴をなめたくなる
- 爪が白っぽくなっている
- 夜になると足がムズムズする
- 下まぶたが何となく白っぽい
このような症状がある人は「貧血」の可能性が高いです。
「自分は貧血かも」と思う人は、ぜひ最後まで読んで貧血改善の栄養学的アプローチをマスターしてください!
■「貧血の種類」と「かくれ貧血」
日本人女性の40%、20〜40代では65%もの人が「貧血」または「かくれ貧血」と言われています。
妊娠による必要量の増加、毎月の月経による”鉄の損失”などが主な原因です。
また、無理なダイエットでの栄養不足も原因の一つになっています。
☆貧血の種類
- 鉄欠乏貧血
- 銅欠乏性貧血
- 亜鉛欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
- 巨赤芽球性貧血(ビタミンB12、葉酸不足)
- 溶血性貧血(足の裏に衝撃があり赤血球が壊されて起こる)スポーツ選手
◎貧血とは
「貧血」とは、血液中の赤血球に量が減ったり、赤血球の中のヘモグロビンが減ったりすることにより起こる症状のことです。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割があるので、減ってしまうと全身に酸素が行き渡らなくなって、クラクラしたり、めまいや怠けが起きたりします。
◎かくれ貧血とは?
「かくれ貧血」とは、ヘモグロビン量が通常なのに、貧血みたいな症状が出ることを言います。
原因は、貯蔵鉄の「フェリチン」が少なくなっているためです。
◎「フェリチン」ってなに?
「フェリチン」を「お金」で例えると分かりやすくなります。
血液中のヘモグロビンは”財布”の中のお金、フェリチン(貯蔵鉄)は”銀行”に預けてあるお金、みたいな感じです。
財布の中のお金(ヘモグロビン)が少なくなると、銀行のお金(フェリチン)から引き出しますよね?
そして、銀行のお金がなくなったらヤバい。
要するに、「フェリチン(貯蔵鉄)が無くなると、体に悪影響が出ますよ」ということです。
■鉄の代謝のメカニズム
今回は、最も多い貧血の「鉄欠乏性貧血」を解説します。
鉄は「十二指腸」から1日に1〜2mg吸収されています。
吸収率がかなり悪い栄養素になので、食事やサプリメントから十分な量の鉄を摂取することが必要があります。
そして、血液中で「トランスフェリン」(運び屋みたいなもの)と結びついて「骨髄」に運ばれ「赤血球」となるのです。
また、鉄の一部は、肝臓(貯蔵)や全身の細胞(DNA合成酵素など)にも使われます。
食事から鉄を摂取
↓
十二指腸
↓
血液中
↓
骨髄
↓
赤血球・肝臓・全身の細胞へ
◎鉄の吸収のメカニズム
食事から酸化鉄(Fe3+)で摂取したものは、吸収される前に二価鉄(Fe2+)に還元されます。
二価鉄に還元されることにより、小腸から吸収することができるようになるのです。
このとき酸化鉄から二価鉄にするときに必要なのが「ビタミンC」などの有機酸になります。
ビタミンCの他にもクエン酸・リンゴ酸にも同じ働きがあります。
摂取した鉄は最終的に、二価鉄として血液中に入り、トランスフェリンに乗って全身に流れ出ます。
◎赤血球の寿命
赤血球の寿命は120日です。
ですので、120日経った古い赤血球は脾臓に運ばれてマクロファージにより壊されます。
◎体内の鉄の貯蔵量
☆体内の鉄の貯蔵量
男性:3〜5g
女性:2〜3g
毎日、汗や尿から1〜2mg排出されて、1〜2mg食事やサプリメントから吸収されています。
◎鉄代謝調整ホルモン「ペプシジン」
「ペプシジン」は、体内の鉄が飽和している状態のときに分泌するホルモンです。
「鉄を吸収しなくていい」というシグナルを出して、鉄の量を調整しています。
また、炎症が起きているときにも分泌されます。
最近では、運動後の2〜3時間後にペプシジンが分泌されているということも分かってきています。
つまり、運動後は鉄の吸収がしずらいということです。
ですので、鉄を摂取するのは運動前にしたほうがいいということです。
■「貧血」を予防・改善する栄養学的アプローチ
☆貧血改善に必要な栄養素
- 鉄:10.5mg/日
- 亜鉛:8mg/日
- 銅:0.7mg/日
- ビタミンC:100mg/日
これらは最低限の量ですが、この量でも摂取できていない人が多いのが現状です。
◎吸収を阻害する組み合わせ
「鉄」を摂ると「亜鉛」の吸収を阻害します。
「亜鉛」を摂ると「銅」の吸収を阻害します。
ですので、鉄・亜鉛・銅はなるべくセットで摂るようにしましょう。
また、ビタミンCは、鉄の吸収を促進する効果があるので、ビタミンCも同時に摂取すると良いでしょう。
■ヘム鉄・非ヘム鉄
鉄には、吸収率の良い「ヘム鉄」と、吸収率の悪い「非ヘム鉄」があります。
☆ヘム鉄(Fe2+)
- あさり:3.8mg/100g
- ヒレ赤身肉:3.5mg/100g
- 豚レバー:13.0mg/100g
- まぐろ:1.8mg/100g
ヘム鉄:吸収率が良い(10〜25%)
☆非ヘム鉄(Fe3+)
- ほうれん草:2mg/100g
- アボカド:1.0mg/1個(140g)
- 乾燥キクラゲ:35.2mg/100g
- 納豆:1.0mg/1パック(30g)
非ヘム鉄:吸収率が悪い(2〜5%)
非ヘム鉄は、ビタミンCによって二価鉄(Fe2+)になって吸収されます。
ヘム鉄と比べると吸収されるまでの工程が多いので、非ヘム鉄は吸収率が悪くなっています。
■まとめ【サプリを活用しよう!】
今回は、貧血を予防・改善するための栄養学的アプローチを紹介しました。
日本人の女性のほとんどの人は、貧血または、かくれ貧血です。
ぜひ、今回の内容を参考に栄養摂取をしてみてください。
食材だけで必要な量を摂ることは難しいので、サプリメントを活用するのが良いでしょう。
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- 日本人の40%の人は「貧血」または「かくれ貧血」
- 運動後は「ペプシジン」により鉄の吸収率が落ちている
- ヘム鉄は吸収率が良い
- 非ヘム鉄は吸収率が悪い
☆貧血改善に必要な栄養素
- 鉄:10.5mg/日
- 亜鉛:8mg/日
- 銅:0.7mg/日
- ビタミンC/100mg
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。