この記事を読むと分かること
・ケトン体の概要
・ケトン体の代表的な作用
・エネルギー供給以外の働き
「ケトン体」と聞くと、「ケトジェニックダイエットの際のエネルギー供給源」ということは、理解している人は多いと思います。
しかし、「エネルギー供給以外の働きは?」と聞くと、ほとんどの人が答えられないと思います。
この記事では、ケトン体の「エネルギー供給以外の働きを3つ」ほど解説しています。
「ケトン体のエネルギー供給以外の働きを3つ答えよ」
記事を読み終えると、このような問いにパッと答えられる栄養学オタクになれますよ。。。
ケトン体の働きに興味がある栄養学オタクの人は、ぜひ最後まで読んでみてください!!
■ケトン体とは?
ケトン体とは、脂肪の合成や分解における中間代謝物のことです。
体内の糖質(グルコースが)が少なくなってきたときに、”緊急用のエネルギー源”として働くことで知られています。
そして、ケトン体をメインのエネルギー源にして行うダイエット方法が、ケトジェニックダイエットです。
◎代表的なケトン体
・アセト酢酸
・3−ヒドロキシ酪酸
・アセトン
アセトンは、体内で増えすぎると不具合が生じるため、基本的には「アセト酢酸」と「3-ヒドロキシ酪酸」がメインになってきます。
»【関連記事】ケトン体そのもの?ケトジェニックダイエットで摂るべき「BHB」とは?
◎ケトン体が合成されるメカニズム
グルコース供給の枯渇
(グルコース:血液中に10〜20g)
↓
グリコーゲン供給の枯渇
(グリコーゲン:肝臓に100g前後、筋肉に300〜400g)
↓
中性脂肪の分解
(脂肪酸が血液中に放出)
↓
アルブミンと結合
↓
幹細胞でカルニチンと結合
(アシルLカルニチンになる)
↓
ミトコンドリア内でアセチルCoAになる
↓
アセチルCoAから「ケトン体(アセト酢酸)」を合成
(アセト酢酸から、3-ヒドロキシ酪酸・アセトンが作られる)
↓
血液中に放出され、必要な部位(肝臓・脳)で代謝(エネルギー化)される
(グルコース:血液中に10〜20g)
血糖値が下がり、グルコースが枯渇し、体内でケトン体が増えて使える状態を「ケトーシス」と言います。
(血液1リットルあたりのケトン体:200マイクロモル)
このケトーシスが、さらに酸性に傾き過ぎた状態を「ケトアシドーシス」と言います。
(血液1リットルあたりケトン体:7,000マイクロモル)
放っておくと気を失ったり、最悪の場合、死に至ったりすることもあるので注意が必要です。
■エネルギー供給以外のケトン体の働き
近年、ケトン体の研究が進んでおり、一番有名な働きの”エネルギー供給”以外にも、ポジティブな働きをすることが分かってきています。
エネルギー供給以外の働き
①ヒドロキシ酪酸の「抗炎症作用」
②ヒドロキシ酪酸の「腎臓保護作用」
③アセト酢酸の「睡眠の質の向上効果」
一つずつ、解説します。
①ヒドロキシ酪酸の「抗炎症作用」
参考:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201906_02.html
細胞死には「受動的な細胞死」と「プログラム化された細胞死」があります。
◇「受動的な細胞死」
✓ネクローシス:細胞の膨張、細胞膜の破壊、細胞内容物の放出など
※転んで膝をすりむいたときなど
→炎症が起こる
◇「プログラム化された細胞死」
✓アポトーシス:細胞全体の萎縮、DNAの断片化
※細胞の寿命
✓パイロトーシス:細胞死の際に、IL-1βやIL-18などの炎症性物質を産生する
※「細胞が死んだ」と周囲の細胞に知らせるため
→ 炎症が起こる
ヒドロキシ酪酸は、このパイロトーシスを抑えられるため”抗炎症作用”があると言われている。
②ヒドロキシ酪酸の「腎臓保護作用」
参考:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201906_02.html
「腎虚血再灌流障害(じんきょけつさいかんりゅうしょうがい)」
→ 過度に”活性酸素”が増えると発生する症状
これが起こると、一時的に腎臓の血流が遮断され、元に戻すときに、虚血状態なので低酸素状態になる。
低酸素状態になると、腎臓に対して負担がかかり、腎不全のような疾病の原因になってしまう。
ヒドロキシ酪酸を摂取することにより、ヒストンアセチル化を亢進させることができるため、IL系の炎症性物質やパイロトーシスを抑制し、腎機能を改善できる。
③アセト酢酸の「睡眠の質の向上効果」
✓睡眠の質を上げるメカニズム
軽度睡眠不足
↓
AMPK・PPARαを亢進
(眠たいときエネルギーを供給する方向に進む)
↓
ケトン体の合成促進
(アセト酢酸が増える)
↓
アセト酢酸濃度の上昇
(脳内)
↓
グルタミン酸の放出を抑制
(交感神経系が抑えられる)
↓
ノンレム睡眠の深度に作用
(ノンレム睡眠:深い睡眠)
しかし、この研究は、人間ではなくマウスでの実験なので今後に期待。
■まとめ
今回は、ケトン体の働きについて解説しました。
ケトン体は、エネルギー供給以外にもさまざまな働きを持っています。
まだ、研究段階ではありますが、抗炎症・腎臓保護・睡眠の質を改善したい人は、ケトン体を摂取してみるのもありかもしれません。
»【関連記事】ケトン体そのもの?ケトジェニックダイエットで摂るべき「BHB」とは?
要点まとめ
✓代表的なケトン体の種類
・アセト酢酸
・3−ヒドロキシ酪酸
・アセトン
✓エネルギー供給以外での働き
①ヒドロキシ酪酸の「抗炎症作用」
②ヒドロキシ酪酸の「腎臓保護作用」
③アセト酢酸の「睡眠の質の向上効果」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。