「口」から入れるか「肌」から入れるか
この記事を読むと分かること
- 経皮吸収と経口摂取の違い
- 経皮吸収の”3つ”のメリット
- 代表的な経皮吸収のサプリ
栄養摂取というと、口から食物を摂取して、胃腸で分解・吸収し、血管内に栄養を行き届かせる。
このような「経口摂取」を考えると思います。
しかし、栄養吸収にはもう一つの方法があるのです。
それが、肌から吸収させる「経皮吸収」です。
近年、サプリメントでも”貼るタイプの商品”が増えてきています。
この記事では、肌から吸収させる”経皮吸収の特徴”を解説しています。
経皮吸収の特徴を理解して、2種類の栄養摂取を使い分けることができる”栄養摂取マスター”を目指しましょう!
■経口摂取と”経皮吸収”の違い
経口摂取は、口から食物を摂取して、基本的には小腸で栄養が吸収されます。
対して経皮吸収は、肌に何かしらの栄養を塗ったり、貼ったりして肌から栄養を吸収させる方法です。
肌から直接、毛細血管に栄養を届けることで、血管内に成分を行き渡らせることができます。
ミネラルを、体全体から吸収するための”入浴剤”などに使われてる「エプソムソルト」は有名ですね。
◎体内の栄養バロメーターの変化
経口摂取は、食物を摂ったときに急激に体内の栄養のバロメーターが上がります。
しかし、経皮吸収は栄養のバロメーターに急激な変動はなく、ゆっくりと上昇して、ゆっくりと下降します。
ですので、今すぐ栄養のバロメーターを上げたいという場合は「経口摂取」
急ぎではなく、ゆっくり吸収させたい場合は「経皮吸収」
このように使い分けるといいでしょう。
■経皮吸収の”3つ”のメリット
経皮吸収の主なメリットは”3つ”です。
- 消化酵素が関係ない
- 肝機能の低下が関係ない
- 胃酸の影響を受けない
①消化酵素が関係ない
経口摂取では”体内利用率が低い栄養素”でも、経皮吸収なら、肌から栄養を吸収するので体内利用率を高めることができます。
人によっては、特定の消化酵素が足りない、上手く活性しないという方がいます。
代表的なものだと、特定の酵素を持っていないため、牛乳を飲むとお腹を壊してしまう「乳糖不耐症」などがあります。
※乳糖(ラクトース)を分解するためには”ラクターゼ”が必要
しかし、経皮吸収に関しては消化酵素が関係ないので、誰でも同じような効果を得ることができるのです。
②肝機能の低下が関係ない
経口摂取をして小腸から吸収されたタンパク質は、肝臓でアルブミンに変換されます。
その後、体内でそれぞれ違うアミノ酸に変換されます。
そのとき、肝機能が低下しているとアルブミンの生成能力も落ちるのです。
つまり、肝機能が低下していると、アミノ酸が作られにくく”体内利用率”も下がってしまうということです。
しかし、経皮吸収は、肝臓を経由せず直接血管内に栄養を届けるので、肝機能が低下していても関係ありません。
③胃酸の影響を受けない
経口摂取をすると「胃」を通ることになります。
胃を通るということは、”胃酸の影響を受ける”ということです。
胃酸は”酸性”ですので、せっかくの栄養がやられてしまうということがあります。
しかし、経皮吸収なら胃を通ることがないので胃酸の影響を受けません。
「薬」なんかも、その一つです。
”胃酸”の影響を受けてしまう「薬」は、経皮吸収のほうが良い場合もあります。
■代表的な経皮吸収のサプリ
近年、「貼る〇〇」みたいな、経皮吸収のサプリメントが広まってきています。
代表的なもので「パッチMDマルチビタミン+」という、貼るタイプのマルチビタミンなんかがあります。
» 貼るタイプのマルチビタミン「パッチMDマルチビタミン+」
他にも、吐き気を抑える「スコポラミン」
閉経後の骨粗鬆症を予防する「エストロゲン伝達パッチ」
禁煙を助けるような「ニコチンパッチ」
皆さんも、目にしたことがあるような商品も、経皮吸収のサプリメントの分類になります。
◎2種類の経皮吸収剤
経皮吸収剤には、2種類のものがあります。
- マトリックス型:支持体/粘着剤+薬物/ライナーの3層構造
- リザーバー型:支持体/薬物/放出制御膜/粘着剤/ライナーの5層構造
リザーバー型のほうが、ゆっくり吸収されるタイプになります。
ゆっくり栄養を吸収したい方は、リザーバー型を選ぶと良いでしょう。
■経口摂取と経皮吸収どちらが良いのか?
参考:https://www.sunsorit.co.jp/shop/wellaging/peeling/skincare_column_18/
結論から言うと、経口摂取のほうが確実に栄養摂取できます。
なぜなら、経皮吸収で肌の奥まで栄養を浸透させるのが難しいからです。
肌というのは、角質層 / 顆粒層 / 有棘層 / 基底層の4層(表皮)+ 真皮の5層構造になっています。
そして、一番下の真皮の部分に毛細血管があり、経皮吸収させる場合ここまで届かせる必要があります。
また、肌の奥まで成分を届かせるためには、多くの条件をクリアする必要があるのです。
◎経皮吸収をするための条件
✓経皮吸収するための条件
- 体温
- 皮膚のpH
- 角層水分量
- 水溶性 / 脂溶性の両面を持つ
- 分子量が小さい
上記の条件が揃って初めて、毛細血管まで栄養が届くのです。
◎分子量の大きさが重要
経皮吸収するためには、特に分子量の大きさが重要です。
分子量の大きさが”500〜600未満”のものでないと真皮まで届きません。
✓分子量の大きさ
- 水素:1
- ビタミンC:176〜198
- カテキン:290
- ビタミンE:431
- アスタキサンチン:590
- コエンザイムQ10:860
◎こんな方は経皮吸収がオススメ
✓経皮吸収がオススメの人
- 固形・粉末・サプリなど、食事から栄養を摂取しにくい
- 食事をすることができない環境にいる
- 消化酵素が働きにくい
- 内臓機能が低下している
- ご飯の摂取で内臓機能低下が誘発されてしまう
事例として、マグネシウム不足の患者に入浴剤で経皮吸収させると、5割の患者に症状の改善が見られたというデータがあります。
また、マグネシウムの吸収率は”20〜40%程度”とも言われています。
しかし、肌に触れている部分の吸収ですので、細かい計算はできません。
経口摂取ができない、興味があるという人は試してみる価値はあると思います。
■まとめ【基本的には経口摂取が良い】
今回は、経口摂取と”経皮吸収”の違いについて解説しました。
経皮吸収は、栄養素ごとに吸収効率がかなり変化します。
経皮から吸収率良いと言われるマグネシウムでも、経口のほうが良い場合もあります。
ですので、栄養摂取のベースは経口摂取が良いでしょう。
しかし、吸収効率などを考えて、どうしても経口摂取ができない場合は経皮吸収も活用する。
このような形が、ベストな栄養摂取と言えるでしょう。
◎要点まとめ
要点まとめ
✓経皮吸収のメリット
- 緩やかな栄養摂取が可能
- 消化酵素や内臓機能が関係ない
- 胃酸の影響を受けない
ベースは経口摂取で、”補填的に経皮吸収”を使う
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。