栄養学 栄養素解説

人間に必要な”16種類”の『必須ミネラル』それぞれの効果や摂取量

✔︎ この記事で解決できるお悩み

• 人間に必要なミネラルってどんな種類があるの?

• ミネラルのそれぞれの効果が知りたい

• 意識して摂取したほうがいいミネラルってある?

趣味筋肉
こんな悩みを解決できる記事を書きました。

今回の記事は、筋肉博士”山本義徳”先生の書籍『アスリートのための最新栄養学(下)』を参考にしています。

 

筋トレをしている人は、「5大栄養素のバランス」を意識した食事をしていると思います。

ですが、『ミネラルを意識している人は少ない』です。

 

「マルチビタミンミネラルを飲んでおけば大丈夫でしょ?」

このような人がほとんどだと思います。

 

この記事では、『必須ミネラルすべての必要量や効果』を、それぞれ解説していきます。

ぜひ、「マルチビタミンミネラル」を選ぶときの参考にしてくださいね。

 

人間に必要な”16種類”の『必須ミネラル』

 

ミネラルは、「5大栄養素」のひとつで、『人間の臓器や細胞の活動をサポート』したり、『筋肉を動かすなどの神経伝達』をしたり、『骨や歯のもと』になったりと、人間が生きていくうえで欠かせない栄養素です。

 

地球上には”118種類”の元素があり、そのうち水素、炭素、窒素、酸素をのぞいた、”114種類”の元素を「無機質」といいます。

 

ミネラルは「無機質」、逆にビタミンは「有機物」と呼ばれています。

 

「ミネラルって”114種類”も摂らなきゃいけないの?」

と思った方、そんなことありません。

 

現在、人間の身体に必要と言われているミネラルは「16種類」です。

これら”16種類”のミネラルを「必須ミネラル」と呼んでいます。

 

『必須ミネラル』

  • カルシウム
  • ナトリウム
  • カリウム
  • 亜鉛
  • マグネシウム
  • マンガン
  • セレニウム
  • ヨウ素
  • モリブデン
  • リン
  • クロミウム
  • 硫黄
  • 塩素
  • コバルト

 

「マクロミネラル」とは?

マクロミネラルとは、微量栄養素の中でも100mg以上必要なミネラルのことです。

16種類の必須ミネラルのうち、7種類がこれに当たります。

 

✔︎「マクロミネラル」

  • カルシウム
  • マグネシウム
  • ナトリウム
  • カリウム
  • 塩素
  • 硫黄
  • リン

 

「車」でミネラルをたとえるなら『車体』

人間の身体を「」に例えて「ミネラル」について説明します。

「車体」:タンパク質

「ガソリン」:炭水化物、脂質

「エンジンオイル」:ビタミン(代謝をスムーズに行うため)

 

ミネラルは何に含まれるかというと「車体」です。

カルシウムと「骨」、鉄と「ヘモグロビン」などが、分かりやすい例ですね。

 

ミネラルの一部は、ビタミン(エンジンオイル)の「補酵素」のように働くものもあります。

ビタミンは有機物なので「補酵素」といい、ミネラルは無機物なので「補因子」と呼ばれます。

 

筋トレしてる人に重要な”6種類”のミネラル

  • (1)ナトリウム
  • (2)カリウム
  • (3)カルシウム
  • (4)マグネシウム
  • (5)鉄
  • (6)亜鉛

それでは、なぜこの”6種類”が重要なのか、簡単に解説していきますね。

 

(1)ナトリウム(ソディウム)

ナトリウムは、『細胞の内外のミネラルのバランスを保つ』ために使われています。

これを「ナトリウムポンプ」といいます。

 

この「ナトリウムポンプ」が正常に働かないと、『細胞の浸透圧が調整できなくなり、細胞が膨れ上がって破壊されます』。

つまり、ナトリウムがなくなると『栄養素が吸収できなくなり、死んでしまう』ということです。

 

筋トレしている人は、汗と一緒にナトリウムも排出してしまいます。

ですので、適度にナトリウムを摂取する必要があります。

厚生労働省が定める「塩」の推奨摂取量

男性:「8g未満」

女性:「7g未満」

日本人の1日の平均食塩摂取量:「9〜11g」

「ナトリウム」をもっと詳しく知りたい人はこちら『ナトリウム不足は筋トレに悪影響』

 

(2)カリウム(ポタシウム)

カリウムは、ナトリウムと”対をなす”栄養素です。

「ナトリウムポンプ」を正常に働かせるためには、『ナトリウムとカリウムのバランスが大事』です。

 

カリウムには、『ナトリウムを体外に排出する作用』があるため、”むくみ”の解消や、コンテスト前の”塩抜き”で使われます。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「3,000mg以上」

女性;「2,600mg以上」

WHOのガイドラインでは、男女とも「3,510mg」を推奨しています。

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、日本人の1日の平均カリウム摂取量は「2,201mg」です。

「カリウム」をもっと詳しく知りたい人はこちら『塩分摂取がコワイ人はカリウムを摂取しよう』

 

(3)カルシウム

カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラル(無機質)で、「体重の1〜2%」を占めています。

そのうち、「99%は”骨”と”歯”」です。

「残りの1%は、血液や細胞外液」にあり、さまざまな生体機能を担っています。

 

「カルシウム不足」になると、筋力が低下します。

なぜなら、『筋肉の収縮の“シグナル“となっているのは、カルシウムイオン』だからです。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「800mg」

女性:「650mg」

ちなみに、「牛乳200ml」に含まれるカルシウムの量は「220mg」です。

「カルシウム」をもっと詳しく知りたい人はこちら『カルシウム不足は筋力を低下させる?!』

 

(4)マグネシウム

マグネシウムには、『筋肉の痙攣(足がつるなど)を防ぐ効果』があります。

 

ほかにも、『骨を強化』したり、『睡眠の質を向上』したりと、筋トレしてる人にとって嬉しい効果が多くあります。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「400mg程度」 

女性:「300mg程度」

厚生労働省の調査によると、男性で255mg、女性で225mgが平均の摂取量になっています。

「マグネシウム」についてもっと詳しく知りたい人はこちら『マグネシウム不足が筋肉の痙攣を引き起こす?!』

 

(5)鉄

鉄は「赤血球」をつくり、酸素を運搬します。

 

ほかにも、心を落ち着かせる「セロトニン」、快楽をつくる「ドーパミン」、やる気をつくる「ノルアドレナリン」など、これらの神経伝達物質もつくります。

これらは「モノアミン系の神経伝達物質」と呼ばれ、人間にとって非常に重要なものです。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「7,0〜7,5mg」 

女性:「10,5〜11,0mg」

厚生労働省の調査によると、1日の「鉄」の平均摂取量は、男性で「7,9mg」、女性で「7,0mg」を摂取しています。

「鉄」をもっと詳しく知りたい人はこちら『筋トレしてる人に鉄は必要ない?!』

 

(6)亜鉛

亜鉛は、筋肥大に重要なホルモンの「テストステロン」「成長ホルモン」「インスリン」の材料になります。

亜鉛を投与したら、IGF-1が増加した、インスリン抵抗性を改善したという報告もあります。

 

筋肉を増やしたい人には、とても重要な栄養素です。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「11mg」

女性:「8mg」

オススメの亜鉛の摂取量:亜鉛元素として「20〜30mg」

「亜鉛」についてもっと詳しく知りたい人はこちら『亜鉛はテストステロンを増やす?!』

 

そのほか”10種類”のミネラルの効果と摂取量

  • (1)銅
  • (2)マンガン
  • (3)セレニウム(セレン)
  • (4)ヨウ素(ヨード)
  • (5)モリブデン
  • (6)リン
  • (7)クロミウム(クロム)
  • (8)硫黄
  • (9)塩素
  • (10)コバルト

それでは、そのほか”10種類”のミネラルもぞれぞれ解説していきます。

(1)銅

銅は、主に骨と筋肉、血液に存在します。

 

抗酸化酵素の「SOD(スーパーオキサイド・ディスムターゼ)」の材料になります。

ですので、抗酸化作用があります。

 

銅が不足すると、免疫細胞である「T細胞」や「マクロファージ」が低下します。

そのため、免疫力が低下します。

 

「銅」は、普通の食事をしていれば、『不足することはありません

ですが、「亜鉛」を大量に摂取している場合は、「銅」が不足する可能性もあります。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「0.9mg」

女性:「0.6mg」

耐用上限量:「7mg」

銅を多く含む食品:魚介類、ナッツ類、豆製品など

(2)マンガン

マンガンは、「酸化還元酵素」や「加水分解酵素」、「脱水素酵素」など、多くの酵素に必要なミネラルです。

骨や結合組織の強化にも関わっています。

 

溶接作業や輸液による、大量摂取では「マンガン中毒」や「パーキンソンニズム」の報告があります。

ですが、普通の食事をしている限り、『不足することも過剰摂取の心配』もありません。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「4.0mg」

女性:「3.5mg」

耐用上限量:「11mg」

マンガンを多く含む食品:香辛料、ナッツ類、穀類、大豆製品など

(3)セレニウム(セレン)

セレニウムは、新陳代謝を促す「甲状腺ホルモン」の活性化に使われます。

甲状腺ホルモンには、「T4(サイロキシン)」と「T3(トリヨードサイロニン)」の2種類があります。

体内に多く存在する「T4」が「T3」に変換されるときに「ヨードチロニン脱ヨウ素酵素」という酵素が必要になります。

この「ヨードチロニン脱ヨウ素酵素」をつくるときに、セレニウムが必要になります。

 

そのほかにも、抗酸化酵素の材料になったり、動脈硬化やがん、老化を防ぐ効果もあります。

 

セレニウムは、普通の食事で「100μg」程度摂取できているので、サプリメントで摂る必要はありません。

食事から簡単に摂ることができるため、サプリで摂っていると過剰摂取になる恐れがあります。

過剰摂取の副作用として、脱毛や胃腸障害、神経障害などがあげられます。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「30μg」

女性:「20μg」

耐用上限量:「350〜450μg」

セレンを多く含む食品:魚類、肉類

(4)ヨウ素(ヨード)

ヨウ素は、新陳代謝を促す「甲状腺ホルモンの材料」になります。

甲状腺ホルモンは、なくなると『数ヶ月しか生きられない』といわれるくらい、重要なホルモンです。

 

ヨウ素は、海藻類や魚介類に多く含まれるため、日本人の普通の食事をしていれば『不足する心配はありません』

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「130μg」

女性:「130μg」

耐用上限量:「3,000μg」

ヨウ素を多く含む食品:海藻類、魚介類など

(5)モリブデン

モリブデンは、肝臓と腎臓に多く存在し、さまざまな酵素に必要になります。

プリン体を分解するときの酵素「キサンチンオキシダーゼ」の補因子として使われます。

ほかにも、アルコールの代謝で有名な「アセトアルデヒド」の解毒にも関係します。

 

モリブデンは、普通の食事をしていれば『不足する心配はありません』

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「30μg」

女性:「20μg」

耐用上限量:「500〜600μg」

モリブデンを多く含む食品:豆類、豆製品、肉類など

(6)リン

リンは、カルシウムの次に、体内に多く存在するミネラルです。

8割はマグネシウムやカルシウムと結合した「ヒドロキシアパタイト」として、骨や歯に存在します。

 

リンは、普通の食事をしていれば、「不足する心配はありません』。

ですが、「リン酸塩」や「ポリリン酸」として『食品添加物にも多量に含まれています』

食品添加物を多量に摂る人は、過剰摂取に注意が必要です。

 

リンは、カルシウムとのバランスが大事です。

カルシウム:リン」は「1:1」〜「2:1」この割合になるようにしましょう。

カルシウムとのバランスが崩れると、腎機能の低下や、カルシウムの吸収抑制などが起こることもあります。

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「1,000mg」

女性:「800mg」

耐用上限量:「3,000mg」

リンを多く含む食材:魚介類、穀類、卵類、肉類、乳製品、豆類など

(7)クロミウム(クロム)

クロミウムは、体内に存在する必須ミネラルの中で、1番微量なミネラルです。

 

クロミウムは、糖質やコレステロールの代謝を助ける働きがあります。

インスリンの感受性を高める効果もあります。

ですので、糖尿病の人やインスリン抵抗性のある方は、サプリメントとしての摂取を検討するのも良さそうです。

 

クロミウムは、普通の食事をしていれば『不足することはありません』

厚生労働省が定める推奨摂取量

男性:「10μg」

女性:「10μg」

耐用上限量:「500μg」

クロミウムを多く含む食品:海藻類、豆製品など

(8)硫黄

体内の硫黄を含む物質は、「含硫アミノ酸(メチオニンやシステイン)」、「コンドロイチン硫酸」、「ビタミンB1」などがあります。

 

硫黄は、最終的に「ステロイドホルモン」や「カテコールアミン」などに変化します。

含硫アミノ酸のシステインは、活性酸素を除去したり、解毒作用を行ったり、ホルモンの生合成に関わる「グルタチオン」の材料になります。

 

硫黄は、卵や肉類など食べている人は『不足する心配はありません』

厚生労働省が定める推奨摂取量

記載なし

(9)塩素

塩素は、体内では「塩化物イオン」という形で存在し、「胃酸」の材料になります。

夏バテで食欲が減退する原因は、水分の摂りすぎで「胃酸の材料」である、ナトリウムと塩素が体外に多量に排出されるためです。

 

塩素は、殺菌効果が有名で、水道水やプールの殺菌に使われています。

水に溶けると「次亜塩素酸」になり、これに殺菌効果があります。

 

塩素は、極端な減塩や大量に汗をかいたりしなければ『不足する心配はありません』

厚生労働省が定める推奨摂取量

記載なし

(10)コバルト

コバルトは、「ビタミンB12」の構成成分になっています。

ビタミンB12は「コバラミン」といいますが、「コバルト」が構成成分になっているからです。

 

ビタミンB12は、赤血球をつくるのに使われるため、コバルトを摂取することにより、貧血の治療に役立ちます。

コバルトは他にも、神経繊維の修復で使われます。

ですので、コバルトの摂取が神経障害の回復に役立つ可能性もあります。

 

コバルトは「ビタミンB12」を摂取していれば『不足する心配はありません』

厚生労働省が定める推奨摂取量

記載なし

 

ミネラルは「マルチビタミンミネラルのサプリメント」で摂ろう!

上記で解説した、すべてのミネラルを『毎日、食材から必要な量を摂るのは不可能』です。

 

ひと昔前は、サプリメントの市場が小さく、科学も発展していなかったので、食材から栄養を摂取する必要がありました。

ですので、「1日に○○種類の食材を食べて栄養を摂ろう」というのがありました。

 

ですが、現在は『天然とほとんど同じ栄養素のサプリメントをつくる技術』があります。

 

お金と時間をかけて、無理して食材から摂るのではなく、『サプリメントで十分な量の栄養を、安定して摂取するほうが合理的』といえます。

 

『科学の進化に感謝』ですね。

 

こんな長い記事を、最後まで読んでいただいてありがとうございます。

この記事が、あなたの役に立つことができたなら幸いです。

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趣味筋肉(しゅみきん)

筋肉・栄養オタク|2019年JBBFメンズフィジーク県2位|フィットネスライター|筋トレ初心者でも”即実践可能な栄養学”を発信|健康的にバルクアップ・ダイエットしたい人向けの栄養記事を書いてます!|月間5万PV以上

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