妊娠 = 葉酸
この記事を読むと分かること
- 妊娠の周期について
- つわりとは?
- 妊娠中はどれくらい体重を増やすべき?
- 妊娠中に摂るべき栄養素
妊娠中は、誰もが「食生活を気をつけよう!」と思うはずです。
しかし、「何を気をつけるべきなのか分からない…」
そんな方は、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。
妊娠の周期・妊娠中に摂るべき栄養素・気をつけるべきことなど、分かりやすく解説しています。
■妊娠の周期とは?
日本で言うと、十月十日(10ヶ月と10日)が、妊娠の周期と言われています。
✓ 妊娠の周期
妊娠周期の起点:受精をする前の月経開始の日(妊娠0週目)
初期:〜13週6日(1〜4ヶ月) → 子宮が大きくなり始める
中期:14週〜27週6日(5〜7ヶ月) → お腹が大きくなり前に突き出す、一般的に中期以降が”安定期”と言われる
後期:28週〜(8〜10ヶ月) → お腹の重みで反り身になり腰に負担がかかる
※ワコール人間科学研究所調べ
■「つわり」とは?
”ご飯を食べたら戻してしまう”など
よくテレビなどで見る症状が「つわり」です。
つわりは、妊娠の初期(1〜4ヶ月)に起こります。
しかし、初期の頃は、お腹も出ていないので、見た目的には妊娠しているか分からないものです。
◎つわりの症状
✓妊娠初期のつわりの症状
- 吐きつわり
- 匂いつわり
- 食べつわり
- 寝つわり など
つわりの症状は、人それぞれです。
しかも、これらの症状が”いくつか同時に起こる”場合もあります。
「つわり」のメカニズムについては、未だに解明されていません。
最悪の場合は、入院や点滴するまで悪化する場合もあります。
◎つわりのときは何を食べるべき?
つわりのときは、栄養素云々の前に”食べられるものを食べる”のが大事です。
✓さっぱりとして食べやすそうなもの
- イチゴなどのフルーツ
- そうめんなどの麺類
- ゼリー飲料
- 炭酸水
- ショウガ湯
- シャーベット系のアイス など
人によっては、フライドポテト、ハンバーガーなどのこってり系が食べやすいという人もいます。
ですので、自分が食べやすいもので栄養を摂るのが一番です。
◎つわりには「生姜」が良い⁉
ショウガの辛味成分の「ジンゲロール」「ショウガオール」が、消化管の働きを調整してくれて、つわりが軽減すると言われています。
少なくとも、4日間は毎日1gのショウガを摂取すると効果が出てくるでしょう。
ちなみに、ショウガ1gは一欠くらいです。
生姜は、生理痛にも良いと言われているので、女性の方は積極的に摂取したい食材ですね。
→ 関連記事「生理痛を緩和する栄養学的アプローチ」
■妊娠中の体重増加の推奨値とは?
つわりのときに体重が減ってしまっても、安定期に入ったら”赤ちゃんに栄養をあげるため”に体重を増やす必要があります。
✓妊娠中の体重増加の推奨値
- BMIが18以下:10〜12kg
- BMIが18〜24:7〜10kg
- BMIが24以上:5〜7kg
※日本産婦人科学会周産期委員会
この推奨値から離れてしまうと、母子の両方に健康障害が生じることがあると言われています。
ですので、妊娠中は”体重の数値”が増えることは気にせず、”赤ちゃんのため”と思って、しっかり栄養を摂取しましょう。
◎日本人女性は痩せ型の人が多い⁉
日本人女性は、”BMIが18以下”の痩せ型の人が多くいます。
できれば、妊娠前から”BMIは18以上”にはしておきたいものですね。
✓ BMIの計算方法
BMI(kg/㎡)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
→ BMI計算機「keisan生活や実務に役立つ高精度計算サイト」
日本肥満学会の判定基準 | |
---|---|
BMI値 | 判定 |
18.5未満 | 低体重(痩せ型) |
18.5〜25未満 | 普通体重 |
25〜30未満 | 肥満(1度) |
30〜35未満 | 肥満(2度) |
35〜40未満 | 肥満(3度) |
40以上 | 肥満(4度) |
■国が推奨している妊娠中に摂るべき栄養素
前提として、全ての栄養素をバランス良く摂ることが大切です。
ですが、妊娠中は、”特に必要になる栄養素”があります。
また、これらの栄養素を摂ることを、”国が推奨”しています。
妊娠初期はつわりで厳しいと思いますが、中期になったら妊娠前の時より食べるようにしてください。
◎妊娠中に摂るべき”10個”の栄養素
✓妊娠中に積極的に摂るとよい栄養素
・エネルギー:2,000〜2,050Kcal
→ 初期:+50 中期:+250 後期:+450
・タンパク質:50g
→ 中期:+5 後期:+25
・ビタミンA:650〜700μgRAE
→ 後期:+80
・ビタミンD:8.5μg
・ビタミンB群:適量
・葉酸:240μg
→ 初期〜後期:+240
・カルシウム:650mg
・マグネシウム:270〜290mg
→ 初期〜後期:+40
・鉄:10.5mg
→ 初期:+2.5 中期〜後期:+9.5
・亜鉛:8mg
→ 初期〜後期:+2
特に、カルシウム・マグネシウム・亜鉛の不足は、「妊娠高血圧症候群」に影響すると言われています。
◎妊婦に葉酸が推奨される理由
葉酸の不足は、先天奇形や先天異常のある「神経管閉鎖障害」への関与があると言われています。
妊娠以前からの葉酸摂取は、神経管閉鎖障害のリスクを低下させます。
赤ちゃんが神経管を作り始めるところが、妊娠が始まって3〜6週間目です。
3〜6週間目では、妊娠に気づかないお母さんが多いです。
ですので、妊娠以前の段階から、必要な量の葉酸を摂っておいたほうがいいでしょう。
妊娠を考えている1ヶ月以上前から、葉酸を体に蓄えておくことが大事です。
ちなみに、男性の葉酸不足も不妊や奇形を引き起こす原因になるので、男女ともに葉酸は大事な栄養素です。
◎葉酸と神経管閉鎖障害の関係
葉酸は、ビタミンB12やビタミンB6と一緒に、肝臓におけるメチオニンの代謝を助ける働きがあります。
メチオニン
↓ ↑ (葉酸・ビタミンB12)
ホモシステイン
↓ (ビタミンB6)
システイン
葉酸が足りていないと、ホモシステインが代謝されず過剰の状態になってしまいます。
このホモシステインが、「神経障害の原因になる」と言われているのです。
また、葉酸不足は、胎児のDNAのメチル化にも影響があります。
それが、神経障害の原因にもなっているとも言われています。
◎葉酸を多く含む食べ物
妊娠する前の1日の葉酸の”推奨量は240μg”です。
ですが、”妊娠後は480μg”が推奨されています。
✓葉酸を多く含む食べ物
- ほうれん草1/2束(135g):284μg
- ブロッコリー1/2(75g):165μg
- 納豆1パック:36μg
- のり八つ切3枚:23μg
見て分かるように、食材から必要量を毎日摂ることは現実的ではありません。
ですので、妊娠前・中の葉酸の摂取はサプリメントを活用しましょう。
■妊娠中に気をつけたい食生活
✓妊娠中にNGのもの
・カフェイン
→ 1日200mgまで(コーヒー1杯程度)
・アルコール
→ 赤ちゃんの低体重の出生を促進してしまう。
・過度な糖質コントロール
→ 妊娠糖尿病のリスクがある。妊娠によってインスリンが効きにくくなっており、血糖値が上がりやすい状態なので、”炭水化物のみ”で食べないようにする。
・魚・魚加工品
→ 大きい魚であるほど”水銀”が蓄積している。水銀は胎児に悪影響を与える。魚油・EPA・DHAはサプリメントで補う。
■まとめ【妊娠前から準備しておこう!】
今回は、妊娠中に摂るべき栄養素を紹介しました。
「妊娠中に摂るべき」と紹介したものの、これらの栄養素は普通に生活をする上でも大切な栄養素です。
また、「これらの栄養素だけを摂取すればいい」というわけでもありません。
母子ともに、健康に妊娠・出産できるよう、妊娠前から準備をしておきましょう。
◎要点まとめ
要点まとめ
✓妊娠中の体重増加の推奨値
- BMIが18以下:10〜12kg
- BMIが18〜24:7〜10kg
- BMIが24以上:5〜7kg
✓妊娠中に積極的に摂るとよい栄養素
- エネルギー
- タンパク質
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンB群
- 葉酸
- カルシウム
- マグネシウム
- 鉄
- 亜鉛
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。