トレーニーは要注意
この記事を読むと分かること
- 甲状腺の働き
- 2種類の「甲状腺疾患」
- 甲状腺疾患へのアプローチ方法
- 甲状腺疾患チェックリスト
ハードにトレーニングをしている人
常に体脂肪率が低い人
こんな人が代謝に異常を感じたら「甲状腺疾患」を疑いましょう。
この記事では、「甲状腺疾患の特徴・兆候・アプローチ方法」を紹介しています。
「最近やたら体重の変化が激しいな」と感じる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
■甲状腺とは?
甲状腺は、喉仏のやや下のところにあります。
甲状腺に異常があると喉が腫れたり、眼球が前に飛び出す「バセドウ病」などを発症します。
◎甲状腺の「役割」
甲状腺は主に「ヨウ素」を原料として、甲状腺ホルモンを血液中に分泌する役割があります。
- 体温の調整
- 新陳代謝の促進(代謝を高める)
- 脳の活性化
- 心臓・胃腸の働きを促進
甲状腺ホルモンの働きは、弱くなりすぎても、強くなりすぎても体に良くありません。
◎甲状腺刺激ホルモン(TSH)とは
甲状腺刺激ホルモン(TSH)が、「甲状腺ホルモン」の分泌量をコントロールしています。
つまり、TSHが極端にブレることで、甲状腺ホルモンにも急激なブレが生じて、甲状腺疾患が起こるということです。
■2種類の甲状腺疾患
甲状腺疾患は、活動代謝が高く、常に体脂肪率の低い女性アスリートに多く見られる症状です。
また、甲状腺疾患は「甲状腺機能低下症」と「甲状腺機能亢進症」の2種類に分けることができます。
◎甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症とは、甲状腺の機能が低下にすることにより、過度に代謝量が低下してしまう症状です。
別名「橋本病」とも言います。
甲状腺機能低下症を発症する原因は「甲状腺の材料が少ないこと」です。
☆甲状腺機能低下症の症状
- 甲状腺機能の低下
- 基礎代謝の低下
甲状腺機能低下症を発症すると、外から摂取した栄養素が消費されず、体に蓄積されやすくなります。
そのため、太りやすくなったり、コレステロール値が高くなったりします。
◎甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の機能が亢進することにより、過度に代謝量が上昇してしまう症状です。
女性の18〜20人に1人が発症するとも言われています。
☆甲状腺機能亢進症の症状
- 疲れやすい
- 動悸
- 手足の震え
- 発汗
- 体重の減少
また、甲状腺機能亢進症には3種類あります。
- バセドウ病
- TSH産生腫瘍
- 薬剤性
①バセドウ病
甲状腺を促進する自己抗体が体内で多く産生されてしまった結果、常に甲状腺ホルモンを分泌する刺激が入り、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になることがあります。
これを「バセドウ病」と言います。
甲状腺に直接の原因があることが多いです。
治療法としては、症状が軽い場合は内服薬、重い場合は手術・ラジオアイソトープ治療をする措置が施されます。
②TSH産生腫瘍
甲状腺ホルモンの分泌量をコントロールしているTSH(甲状腺刺激ホルモン)が、バグってしまうと、過剰に甲状腺ホルモンを分泌してしまいます。
その結果、腫瘍が体内にできてしまうというパターンが「TSH産生腫瘍」です。
③薬剤性
薬剤性は、かなり希少な症状です。
甲状腺ホルモンを含む薬剤を、誤って過剰に摂取することが原因で起こります。
一時的な基礎代謝アップだけで、中長期的な症状はほとんどありません。
■甲状腺疾患のアプローチ方法
ここからは、甲状腺疾患のアプローチ方法を解説していきます。
まずは「甲状腺機能低下症」からです。
◎「甲状腺機能低下症」へのアプローチ方法
甲状腺機能低下症は、栄養学的なアプローチが可能です。
「ヨウ素」と「鉄」を摂りましょう。
☆「ヨウ素」
世界三大欠乏栄養素の1つ「ヨウ素」
※世界三大欠乏栄養素:ヨウ素・鉄・ビタミンA
しかし、日本は海に面している地域が多いので、魚介類などヨウ素を含む食材が食卓に並びます。
そのため、世界でも珍しく、ヨウ素摂取量を満たしている人が多い国でもあります。
※耐用上限量の3mgを超えた摂取を続けると、逆に機能低下症が生じる場合もある
→ 関連記事「16種類の必須ミネラル」
☆「鉄」
特に女性の方が欠乏していることが多いです。
女性は月経があるため、男性よりも多く血液を排出します。
そのため、血液の材料となる鉄が、男性よりも多く必要です。
特に運動している人は、発汗でも体外に排出されるので注意しましょう。
→ 関連記事「筋トレしてる人は鉄は必要ない⁉」
☆鉄が欠乏するとなぜ甲状腺の機能が低下するのか?
鉄が欠乏すると甲状腺の機能が低下する理由は、「甲状腺ペルオキシダーゼ(合成酵素)が活性化するためには”鉄が必要”だから」です。
鉄が足りない
↓
甲状腺ペルオキシダーゼが活性化しない
↓
甲状腺ホルモンが作りにくい環境になる
↓
甲状腺の機能が低下する
その他にも「セレン」「ビタミンD」も、甲状腺機能低下症に関係あると言われていますが、一般的な食事をしていれば欠乏する心配はありません。
◎「甲状腺機能亢進症」へのアプローチ方法
甲状腺機能亢進症は、栄養学的アプローチはしづらいです。
ですので、病院に行って、医学的なアプローチをするのが先決になります。
しかし、栄養学的にアプローチするなら「エネルギー消費量に合わせて、摂取量も増やす」といいでしょう。
甲状腺機能亢進症を発症すると、基礎代謝量が上がってしまうので、栄養が足りなくなり、倦怠感、脱力感が現れます。
これまでと同じ摂取カロリーだと、過度なアンダーカロリーが続き、体内が低栄養状態になり、やせ細ってしまいます。
ですので、どの栄養を摂るとかではなく「エネルギー消費量に合わせて、摂取量も増やす」ことが重要になります。
脂肪分や糖質を積極的に摂取して、摂取カロリーと消費カロリーを合わせるようにしましょう。
◎「アルコール」と「タバコ」はNG
甲状腺疾患になると肝臓に負荷が掛かりやすいです。
なので、甲状腺疾患を持っている人は、肝臓の負荷になる「アルコール」や「タバコ」は控えたほうがいいでしょう。
■甲状腺疾患チェックリスト
下記のチェックリストで4〜5個当てはまる場合は、病院で検査することを推奨します。
☆甲状腺機能低下症の特徴
チェックリスト
- 疲れやすい
- 発汗が少ない
- 脈拍数の低下
- 寒気
- 顔や全身のむくみ
- 甲状腺の腫れ
- 体重の増加
- 皮膚の乾燥
- 筋力の低下
- 眠気
- 声が枯れる
- 物忘れ
- 動作の鈍化
- 抜け毛
- 便秘
☆甲状腺機能亢進症の特徴
チェックリスト
- 汗が異常に多い
- 疲れやすさだるさがある
- 暑がりである
- 脈拍数が多く動悸がする
- 手足が震える
- 甲状腺が腫れる
- 食欲が旺盛である
- イライラする
- かゆみがある
- 口が渇く
- 眠れない
- 微熱が続く
- 息切れがする
- 髪の毛が抜ける
- 排便の回数が増える
- 眼球が出てくる
■まとめ【的確なアプローチを】
甲状腺疾患には大きく2種類あると解説しました。
「甲状腺機能低下症」
「甲状腺機能亢進症」
ハードなトレーニングや、食事制限をしているトレーニーは、一般の人より甲状腺疾患を発症する可能性が高くなります。
症状を理解することにより、的確なアプローチをすることができるので、ぜひ知識として、甲状腺疾患を知っておいてください。
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- 甲状腺ホルモンの働きは、弱すぎても強すぎてもダメ
- 「甲状腺機能低下症」と「甲状腺機能亢進症」の2種類ある
- 甲状腺機能低下症は、栄養学的アプローチが可能
- 甲状腺機能亢進症は、医学的なアプローチが必要
- 甲状腺疾患の人は「お酒」「タバコ」は控えたほうがいい
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。