健康 栄養学

「肝臓」における3大栄養素の代謝

 

この記事を読むと分かること

・肝臓の働き

・「肝細胞」と「非実質細胞」

・肝臓における3大栄養素の代謝

 

趣味筋肉
栄養学を学べる日本一の学校NNC・セミナー・書籍・論文などで「栄養学」を学んでいる、栄養オタクトレーニー、趣味筋肉(しゅみきん)です。

筋肉7年目、2019年JBBFメンズフィジーク”県2位”

 

人間の臓器で一番大きいのは「肝臓」です。

一番大きいということは、とても大事な役割を担っているということです。

 

この記事では、「3大栄養素」が肝臓でどのように代謝されるのかを解説します。

 

3大栄養素の代謝の流れを理解することで、効率の良い栄養摂取が可能になります。

 

■肝臓の働き

 

成人男性の場合、約1,200〜1,400g、体重の2.5%が肝臓の重量になります。

肝臓の主な働きは「エネルギー代謝」「薬物代謝(解毒作用)」です。

 

3大栄養素の炭水化物、脂質は肝臓を経由して、エネルギーに変換されます。

 

また、体に不要な物(アルコールやアンモニア)を分解し、体の外に出せる形にして次の臓器に送り込む役割も担っています。

 

✓食物の流れ

食べ物が消化管で消化 → 胃 → 腸 → 絨毛から吸収 → 細かくなったアミノ酸・糖・脂肪が肝臓にたどり着く → 体に必要なパーツになる

 

◎肝臓の細胞

 

臓器の約60%を占めるのが「肝実質細胞」いわゆる「肝細胞」と言われるものです。

そして、肝細胞以外の細胞を総称して「非実質細胞」と言われています。

 

【各細胞の役割(肝臓)】

・肝実質細胞(肝細胞):糖・タンパク質・脂質・アルコール代謝

→ クッパー細胞、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞などの「免疫細胞」

→ 有害物質をブロックしたり、処理をして排出したりする過程で必要になる反応を担う

・肝星細胞:ビタミンAの貯蔵・コラーゲンの生成

・NK細胞:がん細胞の処理

・胆管上皮細胞:胆汁の輸送

・筋線維芽細胞:肉芽組織形成・コラーゲンの生成

 

■3大栄養素の代謝

 

肝臓は、3大栄養素すべての代謝に関わっています。

 

ここからは、タンパク質・脂質・炭水化物が肝臓でどのように代謝されているのか解説していきます。

 

◎タンパク質

 

タンパク質を摂取すると、小腸にたどり着く過程でトリプシン・キモトリプシン・ペプシンなどの消化酵素によって細かく分解され「アミノ酸」「ペプチド」の形になります。

そして、アミノ酸・ペプチドの状態で小腸から吸収された後に「肝細胞」に届けられます。

 

しかし、このままだと、体に必要なタンパク質には作り変えられていません。

必須アミノ酸は、肝細胞に運ばれると「非必須アミノ酸」に変換されます。

その後、全身に送られ、それぞれに必要なタンパク質の形(筋肉、ヘモグロビンなど)になって使われます。

 

つまり肝臓は、「アミノ酸を用意して必要なところへ送り届ける役割をしている」ということです。

 

ちなみに、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)以外のアミノ酸が、肝臓で代謝されます。

肝臓には、BCAAの代謝酵素となる「BCAT」や「BCKDH」がありません。

ですので、BCAAは”肝臓ではなく筋肉中で代謝される”のです。

 

また、健康診断で「A/G比(アルブミン/グロブリン比)」がありますが、これらも肝臓で作られて体中に運ばれます。

つまり、肝機能が低下すると、体の必要なところにアミノ酸を届けることができなくなってしまうということです。

 

◎脂質


 

小腸から吸収された中性脂質・コレステロール・リン脂質などは、リンパ管 → 血液中 → 肝臓の順に運ばれます。

 

肝臓の中には「リポタンパク質」という、脂質とタンパク質が結合した状態で貯蔵されていて、血液中に放出された後、必要な組織に送られます。

たとえば、お腹周りに中性脂肪として保存して、エネルギーの予備電源として蓄えられたりします。

 

食べたものは直接、中性脂肪になるわけではなく、

食べたもの → 小腸 → 肝臓 → リポタンパク質 → 必要な組織 → 中性脂肪として保存

 

このような形で、どこに何を送るにしても必ず肝臓を経由するのです。

 

◎炭水化物(糖)

 

炭水化物(糖)も、そのままの形では吸収することができません。

ですので、デンプンをブドウ糖(グルコース)の形に分解して小腸から吸収します。

 

吸収されたグルコースは門脈を通って肝臓に送られ「肝細胞」の中でグルコースの形から「グリコーゲン」となり貯蔵されます。

 

また、フルクトースやガラクトースは、一旦グルコースに変換され、その後グルコースからグリコーゲンに変わります。

 

食間が長かったり、運動をしたりすると血糖値が下がり、グルカゴンやアドレナリンが分泌して、低血糖状態だと知らせます。

低血糖状態(飢餓状態)に陥ったときに、貯蔵されていた「肝グリコーゲン・筋グリコーゲン」をグルコースに分解して、血液中に送り込み、最低限の血糖値を保ちます。

 

この働きが、血糖値のホメオスタシスを保つような機構です。

 

肝臓は、血糖を安定させるという大きな役割を担っているのです。

 

■肝臓の基礎代謝

 

1日に消費するカロリーは「基礎代謝」「活動代謝」「食事誘発性熱産生(DIT)」の3種類あります。

これら消費カロリーの、約6割を担っているのが「基礎代謝」です。

 

そして、基礎代謝の中でも”最も多くカロリーを消費している”のが肝臓です。

 

一般の人であれば、”筋肉よりも肝臓の方が基礎代謝量は多い”ため、減量のときは、いかに肝機能を高い状態に保つかが勝負になると言えます。

 

■まとめ

 

今回は、3大栄養素が肝臓でどのように代謝されているのかを解説しました。

 

肝臓は一番大きな臓器であり、3大栄養素すべての代謝で、とても重要な役割を担っています。

 

また、肝臓は筋肉よりも基礎代謝量が多いため、減量をする人は、いかに肝機能を高い状態に保っておくかが勝負になります。

 

肝臓の役割を理解して、効率よく栄養摂取を行ってください。

 

»【関連記事】肝機能低下の原因と栄養学的アプローチ

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。

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筋肉・栄養オタク|2019年JBBFメンズフィジーク県2位|フィットネスライター|筋トレ初心者でも”即実践可能な栄養学”を発信|健康的にバルクアップ・ダイエットしたい人向けの栄養記事を書いてます!|月間1.5万PV以上

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