「TCA回路」を極めて、停滞を打破
この記事を読むと分かること
- TCA回路とは?
- TCA回路の構造と重要な酵素
- 代謝酵素を働かせるために必要な栄養素
減量・ダイエットの大原則は「消費カロリー」>「摂取カロリー」です。
しかし、上記のようなカロリー収支で生活しているものの「計算通りに体重が減らない」という方もいることでしょう。
そんな方は、”TCA回路を効率よく回すこと”で解決できます。
この記事では、エネルギー生産を最大化するためのTCA回路と重要な酵素を解説します。
■TCA回路とは?
「Tricarboxylic Acid Cycle」
略して「TCA回路」と言います。
別名、「クエン酸回路」(クエン酸は1回転で2分子の二酸化炭素を作るため)
または、「クレブス回路」(ハンス・クレブスが1937年に発見、1953年にノーベル賞受賞)とも言われています。
◎TCA回路の役割
TCA回路の役割を一言でいうと、効率よくエネルギー(ATP)を生産するための回路です。
エネルギー(ATP)は、糖・脂質・アミノ酸など、複数の栄養素が代謝されて生産されます。
それぞれの栄養素で違う回路が働くとなると、効率が悪いですよね?
そこで、一つの回路「TCA回路」で、まとめてエネルギー(ATP)の生産をしているのです。
◎ATPが作られる流れ
糖質、脂質、タンパク源が消化・吸収されて、一部が乳酸やエネルギーになります。
そして、一部のエネルギーや乳酸がTCA回路に入って、電子を作り、電子伝達系に届けて、ATP合成酵素(代謝酵素)と反応して、最終的にATPになります。
✓ATPが合成されるまでの流れ
糖質・脂肪酸がβ酸化
⬇
アセチルCoA
⬇
TCA回路
⬇
酸化
⬇
NADHなど(電子の運び手)
⬇
電子伝達系
⬇
ATP合成酵素と反応
⬇
ATPが合成
※原則、TCA回路でATPは作られません。
■TCA回路の構造
「TCA回路が上手く回れば、効率良くエネルギー(ATP)が合成される」ということは理解できたと思います。
ここからは、TCA回路を効率よく回すための方法を解説していきます。
まずは、TCA回路の構造を解説します。
✓TCA回路の構造
①クエン酸
⬇(アコニターゼ)
②Cisアコニット酸
⬇(アコニターゼ)
③イソクエン酸
⬇ NAD
④オキサロコハク酸
⬇(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ)
⑤α-ケトグルタル酸
⬇(α-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ)
⑥スクシニルCoA
⬇(スクシニルCoAシンターゼ)
⑦コハク酸
⬇(コハク酸デヒドロゲナーゼ)
⑧フマル酸
⬇(フマル酸ヒドラターゼ)
⑨リンゴ酸
⬇(リンゴ酸デヒドロゲナーゼ)
⑩オキサロ酢酸
⬇(クエン酸シンターゼ)
再び、①クエン酸、②、③…
※()で書かれているのは「代謝酵素」
このようにTCA回路では、①〜⑩をぐるぐる回して、電子を作り、電子伝達系に受け渡しをしています。
■特に重要な「酵素」と「必要な栄養素」
TCA回路を上手く回すためには、”代謝酵素を上手く働かせる”必要があります。
TCA回路の酵素の中でも、特に重要な代謝酵素は”5つ”です。
①アコ二ターゼ
鉄イオン濃度が減少すると、元に戻そうとしてアコニターゼが消費されます。
アコニターゼが消費されると、TCA回路の効率も落ちます。
つまり、鉄が不足するとTCA回路の効率が落ちて”代謝”が悪くなるということです。
効率よく減量するためにも、「鉄」は意識的に摂取しましょう。
✓厚生労働省が定める「鉄」の推奨摂取量
- 男性:「7,0〜7,5mg」
- 女性:「10,5〜11,0mg」
②イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、「マグネシウム」と「マンガン」を材料に作られています。
ですので、マグネシウムとマンガンが不足すると、クエン酸回路の効率が落ちます。
マンガンは不足することが少ないので心配ありませんが、”マグネシウムは不足しがち”です。
マグネシウム:340mg/日を目安に摂りましょう。
減量中なら、この1.5〜2倍を摂っても大丈夫です。
③コハク酸デヒドロゲナーゼ
コハク酸デヒドロゲナーゼは、4つのサブユニットで構成されていいますが、一番大きいのは”鉄硫黄タンパク質”です。
硫黄は不足することが少ないので、やはり”鉄”を意識的に摂取しましょう。
④FAD
FADとNADは、電子の受け渡しの”運び屋”のような役割をしています。
FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)は、ビタミンB2(リボフラビン)から作られます。
⑤NAD
NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、ナイアシンやNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)から作られます。
ビタミンB2やナイアシンは、水溶性ビタミンのため”過剰摂取の心配”がありません。
ですので、B50・B100などのサプリメントで、まとめて摂取するのがオススメです。
ビタミンB群は、50mgまたは50μg以上/日は摂取したいですね。
◎代謝酵素に必要な”3つ”の栄養素
上記の内容をまとめると、TCA回路を効率よく回すために必要な栄養素は”3つ”です。
- 鉄
- マグネシウム
- ビタミンB群
これら3種類が不足しないように栄養摂取をしましょう。
また、これら酵素は「タンパク質」から作られます。
ですので、最低でも体重×1gのタンパク質は摂取するようにしてください。
»【関連記事】厚生労働省が定めるタンパク質の摂取量が”50g”の理由とは?
■まとめ【停滞打破のキーはTCA回路】
今回は、TCA回路の効率を最大化するための方法を解説しました。
減量中に「計算よりも体重の落ちが悪いな」と感じたら、TCA回路を効率化してみましょう。
TCA回路を効率化することで、エネルギー生産が最大化し、停滞も打破できることでしょう。
◎要点まとめ
要点まとめ
TCA回路とは、効率よくエネルギー(ATP)を生産するための回路である
✓TCA回路を効率化に重要な酵素
- アコニターゼ
- イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
- コハク酸デヒドロゲナーゼ
- FAD
- NAD
✓酵素を活性化するための栄養素
- 鉄
- マグネシウム
- ビタミンB群
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。