最も重要なホルモン「インスリン」
この記事を読むと分かること
・インスリン抵抗性とは?
・インスリン抵抗性による「悪影響」
・インスリン抵抗性を改善する「食事管理」と「栄養介入」
バルクアップ、減量、健康増進
すべてのボディメイクにおいて、最も重要なホルモンは「インスリン」です。
インスリンがなければ、食事から摂取した栄養を筋肉細胞や脂肪細胞に送り届けることができません。
そんな、最も重要な「インスリン」が働かなくなることを「インスリン抵抗性」と言います。
この記事では、『インスリン抵抗性を改善するための食事管理』について解説していきます。
■インスリン抵抗性とは?
インスリン抵抗性を一言で説明すると、「インスリンが上手く働かず、血液中の栄養を細胞内に取り込みづらい状態のこと」です。
※「インスリン抵抗性」と「インスリン感受性が悪い」は、同じ意味で使われる
◎インスリンとは?
インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で作られる、ペプチドホルモンです。
インスリンが働くと、血液中のブドウ糖を、骨格筋細胞・脂肪細胞・肝臓などに取り込み、血糖値を調整します。
要するに、食事をして上がった血糖値を適正な状態に戻してくれるホルモンです。
◎インスリン抵抗性の原因
・肥満
・疾病(糖尿病など)
・運動不足
・睡眠不足
・高脂肪食
・遺伝
・心理的ストレス
この中でも特に重要なものが、「肥満」「疾病」「運動不足」です。
◎インスリン抵抗性による悪影響
✓糖新生の促進
肝臓にグリコーゲンを届けることができないと、他の経路で糖質を作ろうとします。
そのため、筋肉を分解して糖質を作り出す「糖新生」が活発になるのです。
✓動脈硬化
血管内から細胞内にブドウ糖を送り込むことができないと「慢性高血糖」の状態になります。
そうすると、血管内に活性酸素が増え、血管を傷つけます。
そして、傷ついた部分にコレステロールが蓄積し、動脈硬化に繋がります。
✓基礎代謝量の低下
口から栄養を摂取しても、血管内から細胞内に栄養を送ることができないので、グリコーゲンを貯めることができません。
そのため、「使う栄養をセーブしよう」という”エコモードの状態”になり、基礎代謝量が低下してしまうのです。
✓その他にも
・高血圧
・糖尿病
・慢性合併症(網膜症、腎症、神経障害、脳梗塞、心筋梗塞、歯周病など)
インスリン抵抗性には、このような悪影響があるのです。
■インスリン抵抗性を予防・改善する栄養学的アプローチ
インスリン抵抗性は、「改善」も大切ですが「予防」も大切です。
ここからは、インスリン抵抗性に対する食事管理と栄養介入について解説していきます。
✓マクロのアプローチ
・運動習慣をつける
・メンテナンスカロリーの食事
・PFCバランスのコントロール
・インスリン抵抗性改善薬(ビグアナイド剤、チアゾリジン薬など)
✓ミクロのアプローチ
・具体的な運動方法
・GLUT4を動かす栄養摂取
・具体的なPFCバランスとPFCを構成する食材
◎具体的な運動方法
結論からいうと、インスリン抵抗性を改善するためには「運動の”習慣”をつけることが効果的」です。
上記の写真を見て分かる通り
1日に「1分40秒の有酸素運動 × 18回」と「30分の有酸素運動 × 1回」で、インスリン抵抗性に”どの程度の差”が出るのか調査したところ、「2つに大きな差がなかった」と結論づけています。
つまり、1度に長時間の運動をするより「運動の”習慣”をつけること」が、インスリン抵抗性の改善に1番重要ということです。
◎GLUT4の働きとは?
参考:https://gluco-help.com/media/walking/
糖を運ぶのは、インスリンではなく「GLUT4」という輸送体です。
✓細胞内に「糖」が取り込まれる流れ
食事をして「血糖値」が上昇
↓
「インスリン」が分泌
↓
インスリンが「インスリン受容体」にくっつく
↓
インスリン受容体から「GLUT4」に働くよう指令が出る
↓
GLUT4が働く
↓
糖が細胞内に取り込まれる
つまり、
「インスリンとインスリン受容体の”結び付き”を強くする」
「インスリン受容体からの”指令の感度”を良くする」
このようなことが、糖を取り込むためには重要ということです。
◎GLUT4の活性条件と栄養摂取
GLUT4が活性する主な条件は、下記の4つです。
・インスリン刺激
・AMPK活性
・筋収縮刺激
・低体温状態
✓インスリン刺激
「インスリン感受性」を高める栄養素
・マグネシウム
・亜鉛
・ビタミンD
・アルギニン
・αリポ酸
「インスリンの材料」になる栄養素
・ビタミンC
・亜鉛
・アミノ酸(EAA、システイン)
✓AMPK活性
・βコングリシニン
・EPA
・ヘスペリジン
上記の栄養素を摂取することで、アディポネクチンが活性し、 AMPKが活性します。
ちなみに「アディポネクチン」と「炎症性サイトカイン」は、拮抗状態にあります。
つまり、炎症性サイトカインを抑える「抗酸化物質」を摂ると「GLUT4が活性する」ということです。
抗酸化物質を摂る
↓
炎症性サイトカインが減少
↓
アディポネクチンが活性化
↓
AMPKが活性化
↓
GLUT4が活性化
このようになるのです。
◎具体的なPFCバランス
根本的には、PFCバランスよりも、メンテナンスカロリーやアンダーカロリーを維持することが大事です。
結論からいうと、脂質の比率が30%の女性に対して「P20%:F20%:C60%の和食」に変更したとき、「インスリン抵抗性が優位に改善した」と示しています。
※朝食を抜くのはNG
ちなみに、「短期間のファスティング」や「ケトジェニック食」でも、インスリン抵抗性が改善したという研究もあります。
つまり、何が原因でインスリン抵抗性が発生しているのかを、”特定することが大事”でそれによって栄養介入は変わってくるということです。
■まとめ
今回は「インスリン抵抗性」を予防・改善するための栄養学的アプローチを紹介しました。
インスリン抵抗性が発生すると、体重が減らないということだけでなく、さまざまな健康的問題も生じてきます。
ですので、「インスリン抵抗性が発生しているな」と感じた人は、上記で紹介した食事管理、栄養介入を試してみてください。
◎要点まとめ
要点まとめ
✓インスリン抵抗性の原因
・肥満
・疾病(糖尿病など)
・運動不足
・睡眠不足
・高脂肪食
・遺伝
・心理的ストレス
✓インスリン抵抗性による悪影響
・糖新生の促進
・動脈硬化
・基礎代謝量の低下
・高血圧
・糖尿病
・慢性合併症(網膜症、腎症、神経障害、脳梗塞、心筋梗塞、歯周病など)
✓インスリン抵抗性の改善方法
・運動習慣をつける(有酸素運動)
・メンテナンスカロリーの食事
・PFCバランスのコントロール
・インスリン抵抗性改善薬
・GLUT4を動かす栄養摂取
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。