そのイライラは、”ホルモンのせい”
この記事を読むと分かること
- 生理前ってどの期間?
- 生理前は太るってホント?
- 生理前に摂るべき”3つ”の栄養素
「生理前になると精神が不安定になってしまう…」
そんな方は、”ある栄養素が足りていない”かもしれません。
この記事を読んで、少しでも”生理前の不安定な状態”を改善していただければと思います。
■生理前とは?
生理前とは、約28日周期の「排卵日から月経までの約2週間のこと」を言います。
生理中(月経)は、「エストロゲン」というホルモンが優位に働いています。
しかし、生理前は、エストロゲンが下がって「プロゲステロン」というホルモンが優位になっていきます。
このエストロゲンとプロゲステロンのバランスによって、”生理前の精神状態は変化する”のです。
✓「プロゲステロン」の作用
- 食欲が増進する
- 体内の水分量をキープする
- セロトニンを減らす
◎生理前の症状「PMS」とは?
生理前の症状が出ることを「PMS(premenstrual syndrome)」
日本語で「月経前症候群」と言います。
✓「PMS」の症状
- イライラする
- 眠くなってしまう
- 自己肯定感が下がる
- 泣きたくなる
- 食欲が増す
- 体がむくむ
- 胸が張る など
機嫌が悪くなる
急に泣きたくなる など
生理前の症状は、人それぞれです。
◎生理前は太るのか?
結論から言うと、”体重の数字”は増えますが、”体脂肪”が増えるわけではありません。
なぜなら、プロゲステロンというホルモンが、体内に”水分を溜め込む作用”があるからです。
もし受精した場合、赤ちゃんを守るために、水分や栄養を溜め込む必要があります。
ですので生理前は、食欲が増進したり、体重が増えたりするのです。
個人差はありますが、生理前に数字だけを見てストレスを溜めないようにしましょう。
■日本人女性の40%は「貧血」
日本人女性の40%は「貧血」もしくは「かくれ貧血」と言われています。
貧血の原因は、”鉄不足”です。
鉄が不足すると、赤血球のヘモグロビンの値が下がります。
ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割があるので、不足すると怠け・めまいなどの症状が出てくるのです。
→ 関連記事「貧血を予防・改善する栄養学的アプローチ」
◎鉄は”どれくらい”足りていないのか?
「日本人の食事摂取基準」では、鉄の推奨量は”10.5mg”です。
しかし、実際の平均摂取量は”6.6mg”しかありません。
推奨量より、約4mgも足りていません。
ですので、多くの人が「貧血」や「かくれ貧血」になっているのです。
また、めまいなどの症状がある場合は、重度な貧血と言えます。
このような症状が出る前に、対処するようにしましょう。
■生理前に積極的に摂るべき”3つ”の栄養素
生理前に摂取すべき栄養素は、タンパク質・鉄・ビタミンB6です。
しかし、これら3つの栄養素だけでなく、全ての栄養素をバランス良く摂取するのも大事になります。
血を作る、ビタミンE・ビタミンD・鉄・亜鉛・銅・葉酸・ビタミンB12など、大事な栄養素はたくさんあるのです。
ですが今回は、生理前に”特に重要な3つの栄養素”を紹介します。
◎「タンパク質」と「鉄」
タンパク質と鉄は、全身に酸素や栄養を運ぶ「ヘモグロビン」を作るために必要です。
「ヘモ = 鉄」「グロビン = タンパク質」という意味ですので、鉄とタンパク質は、両方必要になります。
◎「ビタミンB6」
ビタミンB6は、タンパク質の代謝を助ける”補酵素”として働きます。
また、ビタミンB6の摂取で「月経前のPMSの状態が緩和された」というデータも出ています。
PMSが緩和された理由は、ビタミンB6はセロトニンを作るのに使われるためです。
✓セロトニンが生成されるまで
タンパク質
↓
Lトリプトファン
↓(鉄・葉酸・ナイアシン)
5−HTP
↓(ビタミンB6)
セロトニン
↓
メラトニン
鉄・葉酸・ナイアシンも大切ですが、セロトニンの生成には、最終的に”ビタミンB6が必要”なのです。
◎セロトニンが生理前の不安定を解消する
セロトニンは、別名「幸せホルモン」とも言われ、精神を安定させてくれる効果があります。
そのため、セロトニンが生成されることで、生理前の泣きたい症状やイライラを緩和することができるのです。
また、日光を浴びることでもセロトニンは分泌されるので、毎朝日光に当たるようにしましょう。
■”3つ”の栄養素の摂取量
- タンパク質:1.4〜2g/kg体重/日
- 鉄:10.5mg/日
- ビタミンB6:1.1mg/日
上記の量を生理前だけでなく、毎日継続的に摂取することで、生理前の症状を緩和することができます。
◎どんな食材から摂るべきか?
✓「タンパク質」
- サバ:20.6g/100g
- 木綿豆腐:7.0g/100g
- 鶏むね肉:23.3g/100g
✓「鉄」
- あさり:3.8g/100g
- 鶏レバー:13.0mg/100g
- ピュアココア:14mg/100g
「鉄」は「亜鉛」の吸収を阻害する作用があります。
ですので、鉄を摂りすぎると、「亜鉛欠乏性貧血」になってしまうことがあります。
また、「亜鉛」は「銅」の吸収を阻害します。
鉄ばっかり摂るのではなく、鉄・亜鉛・銅をバランスよく摂取しましょう。
→ 関連記事「必須ミネラルの効果と摂取量」
✓「ビタミンB6」
- まぐろ(赤身):1.08mg/100g
- にんにく:1.53mg/100g
- 鶏ささみ:0.62mg/100g
ビタミンB6は、タンパク質と一緒に入っていることが多いです。
お肉とにんにくを一緒に食べることで、ビタミンB6がたくさん摂取でき、タンパク質の吸収率を上げることができます。
→ 関連記事「ビタミンB郡の効果と摂取量」
■生理後は痩せやすいのか?
結論から言うと、生理後は体重が”減りやすい時期”ではあります。
むくみが取れたり、肌が綺麗になったり、ストレスがなくなったりするからです。
しかし、そういうときに無理なダイエットをすると、必要な栄養素が足りなくなってしまいます。
そうすると、次の生理前のときに精神が不安定になったり、生理痛がひどくなったりするのです。
ダイエットは、長い時間をかけて健康的に行いましょう。
■まとめ【栄養摂取で精神安定】
今回は「生理前に摂るべき”3つ”の栄養素」を解説しました。
- タンパク質
- 鉄
- ビタミンB6
これらは、意識的に摂取しないと、必要量を摂ることは難しい栄養素です。
生理前に「精神が不安定になる」など、症状がひどい人は、今回紹介した栄養学的アプローチを試してみてください。
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- 生理前は、栄養・水分を溜め込みやすい時期
- 日本女性の40%は「貧血」または「かくれ貧血」
- 生理前に限らず、バランスの良い食事をすることが大事
✓生理前に摂取すべき栄養素”3つ”
- タンパク質
- 鉄
- ビタミンB6
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。