この記事を読むと分かること
- 動脈硬化症の正体とは?
- 動脈硬化症になりやすい人ってどんな人?
- 予防/改善する栄養学的アプローチ
- 運動する際の注意点
加齢や食生活の乱れによって発症する「動脈硬化症」
・脳梗塞
・心筋梗塞
・くも膜下出血 など
動脈硬化を放っておくと、”死亡率が高い疾病”につながる可能性があります。
この記事では、動脈硬化症を予防・改善するためのアプローチ方法を紹介します。
「動脈硬化症」は、ほとんどの日本人に関係する疾病の一つですので、ぜひ最後まで読んでみてください。
■動脈硬化症の正体とは?
動脈硬化症はその名の通り、動脈が固まって”弾力性”が失われた状態のことです。
※動脈:血液を心臓から末端に送る血管
動脈硬化症にはいくつか種類がありますが、ここでは”3種類”紹介します。
①アテローム性動脈硬化症
②細動脈硬化
③中膜硬化
1つずつ解説します。
①アテローム性動脈硬化症
✓アテローム性動脈硬化症の流れ
大動脈の血管が傷つく
↓
プラークができて血管が狭まり硬くなる
↓
アテローム動脈硬化症が発症
※プラーク:コレステロールの塊
・急な血圧上昇で血管が破裂
・血栓ができて血流が圧迫する
このような症状が、心筋梗塞・脳梗塞です。
「アテローム性動脈硬化症」は、心筋梗塞・脳梗塞の発症率を上げる危険な疾病の一つです。
②細動脈硬化
脳や腎臓など、細い動脈が硬くなる症状が「細動脈硬化症」です。
加齢や高血圧
↓
血管が硬まりやすくなる
↓
脳出血につながる
③中膜硬化
血管は外膜・中膜・内膜の”三層構造”になっています。
この中膜にカルシウムが溜まり、石灰化して血管の柔軟性を損なった状態を「中膜硬化(メンケルベルグ硬化症)」と言います。
※カルシウムが固まる原因:加齢・喫煙
■動脈硬化症になりやすい人の特徴
✓動脈硬化症になりやすい人の特徴
①加齢
②脂質異常症(肥満症状)
③喫煙
④運動不足
⑤アルコールの過剰摂取
⑥偏った食生活
⑦過食
⑧遺伝
これらに当てはまる人は、動脈硬化の初期症状を感じにくいため、定期的な健康診断で定量的な血管・血液の状態を確認するべきです。
①加齢
加齢により”活性酸素”が増えて血管が傷つきやすくなる
↓
悪玉コレステロールが溜まり、プラークができて血管を圧迫
↓
高血圧や血管壁硬化の原因になる
»【関連記事】老化の原因になる「酸化」とは(活性酸素・抗酸化物質)
②脂質異常症(肥満症状)
血中のコレステロール値や中性脂肪が高い人が「脂質異常症」です。
脂質異常症の人は、血中コレステロールが多い傾向にあるので、動脈硬化には注意が必要です。
③喫煙
タバコには多くの化学物質が含まれています。
喫煙することで、化学物質が血管を傷つけ動脈硬化を引き起こすのです。
喫煙歴が長い、タバコの本数が多いほど危険性は増大します。
④運動不足
運動をすると血流が活発になり血管の柔軟性が保たれやすくなります。
その結果、エネルギー生産のため脂質が使われやすくなります。
⑤アルコールの過剰摂取
アルコールは肝臓で代謝されます。
しかし、大量のアルコールを飲むと、その代謝に伴い”肝臓での中性脂肪の合成”が進み、必要以上に中性脂肪が作られてしまいます。
⑥偏った食生活
・タンパク質の摂取がかなり少ない(体重×1g未満)
・脂質の比率が40%以上
・炭水化物の比率が70%以上
このような食生活になってしまっている人は要注意です。
⑦過食
自分のメンテナンスカロリーよりも多く食べてしまう人は、肥満症状になるので動脈硬化のリスクを上げることになります。
⑧遺伝
家族や親戚に脳卒中や動脈硬化を発症している場合は、遺伝的に動脈硬化になりやすいと言えます。
■動脈硬化症を予防・改善するアプローチ
✓動脈硬化症を予防・改善するアプローチ
①バランスの取れた食事
②悪玉コレステロールの抑制
③禁煙・禁酒
④血管の柔軟性を上げる栄養素を摂取
⑤低GI・低GLを加味した食事
⑥その他
1つずつ解説します。
①バランスの取れた食事
摂取カロリー:メンテナンスカロリーにする
タンパク質:13〜20%
脂質:20〜30%
炭水化物:50〜65%
②悪玉コレステロールの抑制
1日で摂取する脂質の割合で、飽和脂肪酸の比率を全体の”7%以下”に抑えるようにしましょう。
③禁煙・禁酒
禁煙・禁酒をしたからといって、必ずしも動脈硬化を防げるわけではありません。
運動習慣・食習慣など、様々な要因があるからです。
しかし、タバコ、アルコールは動脈硬化のリスクを上げるという研究が多くあるので、控えるのが無難でしょう。
④血管の柔軟性を上げる栄養素を摂取
・アルギニン
・シトルリン
・アグマチン
これらは、いわゆる「NO系」の栄養素です。
※NO:一酸化窒素
上記の栄養を摂ると、血管内で一酸化窒素を増やします。
その結果、血管の中膜が柔らかくなるため、血管の柔軟性が向上します。
NO系の栄養素は、トレーニングでパンプアップさせるために摂るイメージがあると思います。
しかし、高齢者の”動脈硬化の予防”にもかなりの効果が期待できる栄養素でもあるのです。
⑤低GI・低GLを加味した食事
糖質を大量に摂取すると、血糖値が乱高下して「血糖値スパイク」を引き起こします。
その結果、活性酸素の分泌が活性化して、血管壁を傷つける要因になります。
血管壁が傷つくと、そこにコレステロールが溜まりやすくなり動脈硬化になるのです。
ですので、血糖値が乱高下しない”低GI・低GL”を加味した食事を心がけましょう。
⑥その他
場合によっては「薬剤が必要になる」こともあります。
また、自覚症状を感じにくい人も多い疾病ですので、定期的な健康診断、こまめな運動が重要です。
■高強度の運動はくも膜下出血につながる?!
動脈硬化の可能性がある人が、高強度の運動をすると「くも膜下出血」につながる恐れがあります。
特に、高齢者は要注意です。
トレーニング中に、くも膜下出血を発症してしまう人は、”呼吸法”よくない場合が多いです。
具体的に言うと、呼吸を止め、腹圧を高めて力を発揮しようとする「バルサルバ法」という方法を使ってしまっています。
しかし、ガイドライン的には、呼吸をしながらトレーニングをするようになっています。
呼吸を止めてトレーニングをすると”血圧が急上昇”するので、動脈硬化の可能性がある人は呼吸法には気をつけてください。
■まとめ
今回は「動脈硬化症」について解説しました。
「コレステロール値が高いと言われた」
「中性脂肪が高く、肥満気味」
このような人は、動脈硬化のリスクが高いので、上記で紹介したアプローチ方法を試してみてください。
要点まとめ
✓動脈硬化になりやすい人の特徴
①加齢
②脂質異常症(肥満症状)
③喫煙
④運動
⑤アルコールの過剰摂取
⑥偏った食生活
⑦過食
⑧遺伝
✓予防・改善するアプローチ方法
①バランスの取れた食事
②悪玉コレステロールの抑制
③禁煙・禁酒
④血管の柔軟性を上げる栄養摂取
⑤低GI・低GLを加味した食事
⑥薬剤・定期的な健康診断・こまめな運動
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。