肝臓は「沈黙の臓器」
この記事を読むと分かること
- 肝臓の主な4つの働き?
- 肝機能異常チェックリスト
- 「肝障害」と「肝機能障害」の違い
ハードにトレーニングしている人
ダイエット・減量をしている人
「肝臓の数値」を気にしていますか?
高タンパク食や過度な減量食は、肝臓に大きな負担を与えています。
この記事では、「知らなきゃヤバい肝臓の異常」について解説しています。
「肝臓のことなんて考えていなかった」という人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
■肝臓とは?
意外だと思いますが、人間の臓器で一番大きいのは「肝臓」です。
体重の50分の1、約1〜1.5kgほどになります。
そして、この肝臓は「異常が出やすい臓器」でもあります。
データによると、人間ドックを受けた人の中で、”肝臓に何かしらの異常”を持っている人は約33%とのことです。
日本人の3人に1人は、肝臓に何かしらの機能異常があるということになります。
■肝臓の”4つ”の働き
人間の臓器で一番大きい「肝臓」
一番大きいということもあり、肝臓にはたくさんの働きがあります。
その中でも、今回は主な働き”4つ”を紹介します。
- 代謝機能
- エネルギーの貯蔵
- 解毒作用
- 胆汁の生成
①代謝機能
肝臓には、食事から摂取したものをエネルギーに変える働きがあります。
タンパク質の代謝(BCAA以外)も、基本的に肝臓で行われます。
また、肝臓は体の臓器の中で一“番基礎代謝量が高い“です。
なので、肝臓の機能が低下すると「基礎代謝の低下」が顕著に現れます。
②エネルギーの貯蔵
体を動かすときのエネルギーである「グリコーゲン」は、主に筋肉に蓄えられていますが、肝臓にもサブ電源として蓄えられています。
肝臓に蓄えられているグリコーゲンの量は、おおよそ100gです。
筋グリコーゲンが少なくなってくると、それを補う形で肝グリコーゲンを使うことになります。
③解毒作用
肝臓は、解毒作用を持つ臓器です。
「肝臓には解毒作用がある」というのは有名ですよね。
アルコールやアンモニアなど、有害な物質を解毒して体外に排出する働きを担っています。
④胆汁の生成
胆汁などの消化酵素を作り、血中のコレステロール値を調整する働きがあります。
また、アルブミンなどのタンパク質を作る働き、血液の凝固因子を作る働きなどがあります。
■機能異常の兆候を見つけるポイント
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるくらい、傷んだりダメージを受けたりしても、影響が顕著に現れません。
ですので、症状が悪化するまで気づきにくいという特徴があります。
☆肝臓のダメージに気づかないと…
肝臓にダメージが蓄積
↓
濾過機能が失われる
↓
エネルギーとして代謝されなかった栄養素が中性脂肪として蓄積
↓
脂肪肝になる
そこで、肝臓の異常を見つけるためのチェックポイントを紹介します。
◎肝機能異常チェックリスト
チェックリスト
- 慢性的な疲れがある
- 手のひらが赤い
- お酒を美味しいと感じない
- 膨満感がある
- 食欲不振
- 白目の黄色化
- むくみがある
- 女性化乳房
- くも状血管腫
上記の症状に多く当てはまる人は、肝臓に異常がある可能性があります。
異常のある人は、早めにお医者さんに相談しましょう。
■「肝障害」と「肝機能障害」の違いとは
肝障害と肝機能障害の違いを簡単に説明すると
肝障害は「肝細胞自体に障害があること」
肝機能障害は「肝臓が役割を果たせなくなっている状態のこと」です。
◎肝臓の異常を判断する数値
- 「AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)」
→ 肝臓以外にも、心臓、腎臓、筋肉などに点在している - 「ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)」
→ 肝臓のみに存在 - 「γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)」
→肝臓から胆汁が通る道「胆道」に排出される物質
これらの数値は、肝臓の機能というよりも「肝細胞自体の障害度合いを示す数値」です。
肝細胞が壊れる → 血液中に溶け出す → 数値が上がり血液検査で発覚
■肝障害とは
繰り返しになりますが、肝障害とは「肝細胞自体に障害があること」です。
「障害があること」とは言っても、どのような状態が異常なのか判断するのは難しいでしょう。
そこで、健康診断などの数値の見方を簡単に解説します。
◎ASTとALTの「両方とも低い」
AST、ALTは、タンパク質から作られる「酵素」です。
ですので、両者の数値が低いときは「タンパク質が足りていない傾向」があります。
そういった場合は、タンパク質を含む食材をたくさん摂ることにより、症状が緩和することがあります。
◎「AST > ALT」
肝臓以外の、血液、心臓、腎臓、筋肉などで病気が起こっている可能性が高いです。
アルコールを高頻度で摂取している人に起こりやすいパターンになります。
栄養的には、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が不足している可能性が高いです。
ALTを作るときの補酵素となるのがビタミンB6になります。
つまり、「AST > ALT」の場合は、タンパク質にプラスしてビタミンB群を摂ることにより、症状が良くなる傾向にあるということです。
→ 関連記事「iHerbで買えるオススメのビタミンBコンプレックス」
◎「AST < ALT」もしくは「両方とも高い」
ALTのみ高い場合、ASTとALTの両方の数値が高い場合は、「脂肪肝」「アルコール性肝障害」のリスクが高いです。
しかし、肝臓に病気を持っている可能性は高いのと、機能が低下しているかどうかは別問題になります。
ただ単に、肝臓の細胞が破壊されているだけで、しばらくすると回復するケースもあります。
◎「γ-GTPが高い」
「γ-GTP」は、肝臓から胆汁が通る道「胆道」に排出される物質です。
胆道が閉塞される → 血液中に流れ出てくる → γ-GTPの数値が高くなる
γ‐GTPの数値があまりにも高い場合は、「脂肪肝」「アルコール性肝障害の可能性」が高いです。
※ALTはγ‐GTPと似ておりアルコールに反応する
◎肝障害を改善する方法
肝障害を改善する方法は、「アルコールの摂取を控える」「PFCバランスを整えた食事」になります。
とてもシンプルな方法ですが、一撃で改善するような方法なんて存在しません。
ですので、少しずつでも改善していきましょう。
※ 遺伝的、他の薬を摂って数値が高くなる(薬剤性)場合もある
■肝機能障害とは
繰り返しになりますが、肝機能障害は「肝臓が役割を果たせなくなっている状態」のことです。
トレーニーの方で、肝機能障害になる人は多くいます。
正しい知識があれば肝機能障害は防げますので、原因と簡単にできる対策を紹介します。
◎肝機能障害を判断する数値
☆肝機能障害を判断する数値
-
アルブミン
-
コリンエステラーゼ
-
アンモニア
-
血小板
これらの数値に異常値が出た場合は、肝機能障害の可能性があります。
特に多い障害は、アルブミンの異常値です。
アルブミンは肝臓で作られるタンパク質なので、この数値が低いということは「タンパク質の合成能力が衰えている」ということになります。
◎肝機能障害になる「原因」
トレーニーが、肝機能障害になる原因はシンプルです。
「一回に摂取するタンパク質の量が多い」です。
☆肝機能障害になるロジック
吸収されなかったタンパク質が「悪玉菌のエサ」になる
↓
その他余ったタンパク質は「窒素」になる
↓
一部が「アンモニア」に変わる
↓
肝臓でアンモニアから「尿素」へ変換
↓
腎臓で濾過して尿として体外に排出
このように、肝臓に負担をかける工程が発生し、肝機能障害が起こるのです。
◎肝機能障害の「対策」
トレーニーの方で、肝機能障害になりたくない人は以下の4つを意識してください。
- 一回で摂取するタンパク質の量を減らす
- 食事の回数を増やす
- 固形の食材から摂取するのではなく、EAAなどのアミノ酸で摂取する
- タンパク質の処理能力を上げるために、腸内環境を整える
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◎肝機能低下が起こっているときに摂るべき3つの栄養素
①「シリマリン」
マリアアザミという植物由来の栄養素で、フラボノイドの一つです。
強力な抗酸化能力を持つ「グルタチオン」をたくさん合成してくれる働きがあり、肝臓の濾過能力を高めてくれます。
アルコールをよく飲む人にオススメです。
また、ステロイドのケア剤の主成分でもあります。
②「亜鉛」
アルコールを分解するときに必要な「アルデヒドデヒドロゲナーゼ」の材料になります。
③「タウリン」
肝臓の働きを活発にして、酵素反応を起こし、アルコールの代謝を促進する効果があります。
■まとめ【健康診断の数値を気にしてみよう!】
今回は、肝機能改善について解説しました。
トレーニーの方で多いのが「自分は健康だから大丈夫」という安易な考えです。
そういう人に限って、健康診断の数値を見てみると意外と悪かったりします。
ここまでこの記事を読んでくれた人は、ぜひ健康診断の結果を見てみてください。
特に異常がなければ、今までのやり方で大丈夫でしょう。
しかし、少しでも数値が悪ければ何かしらに原因があります。
人生を豊かにするために一生筋トレを続けたいと言う人は、これを機に食事習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
◎要点まとめ
最後に簡単にまとめておきます。
要点まとめ
- 肝臓は「沈黙の臓器」と言われ異常に気付きにくい
- 肝臓の働きは、代謝機能、エネルギーの貯蔵、解毒作用、胆汁の生成
- 肝障害は、肝細胞自体に障害があること
- 肝機能障害は、肝臓が役割を果たせなくなっている状態のこと
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事があなたのお役に立つことができたのなら幸いです。