この記事を読むと分かること
・マグネシウムの6つの効果
・適切な摂取量
・過剰摂取はあるのか?
・経皮吸収可能?!エプソムソルトとは?
スーパーミネラルとも言われる「マグネシウム」
あなたは、マグネシウムの効果をいくつ答えられますか?
”3つ以上”と答えられたあなたは、僕と同じ”栄養オタク”ですね。
この記事では『マグネシウムの”6つの働き”と摂取方法を解説』しています。
記事を読み終えると、マグネシウムがスーパーミネラルと言われる理由を理解でき、今日からあなたもマグネシウムを摂りたくなることでしょう。
■マグネシウムの歴史
マグネシウムは、様々な病気を治すと話題になった、古代ギリシャのマグネシアで採掘される鉱物が由来のミネラルの一種です。
血液中にMgが含まれていることが発見されたのは1915年です。
■マグネシウムの「体内貯蔵量」
マグネシウムの50〜60%は「骨」に、20%は「筋肉中」に存在しています。
残りは、肝臓、血液、脳、細胞内液にタンパク質と結合した形で貯蔵されています。
マグネシウムの平均的な体内貯蔵量は”20〜30g”です。
■マグネシウムの超重要な6つの効果!!
スーパーミネラルとも言われる「マグネシウム」には、さまざまな働きがあります。
今回はその中でも、特に重要な”6つの効果”を解説します。
✓マグネシウム”6つの効果”
- 動脈弛緩作用
- 糖尿病の予防
- 心疾患予防
- 骨を作る
- 交感神経抑制作用
- 補酵素として300を超える代謝に関わる
①動脈弛緩作用(動脈硬化予防)
マグネシウムは、ナトリウム・カルシウムと対になる働きをします。
そのため、マグネシウムが足りていないと、ナトリウムやカルシウム量をコントロールできずに「血圧が上がってしまう」というケースがあります。
マグネシウムは、動脈を弛緩させることにより血圧を下げる作用があるのです。
また、ナトリウム・カルシウムのコントローラーとしての働きもあります。
②糖尿病予防
マグネシウムには、「インスリン抵抗性」を改善する効果があります。
※インスリン抵抗性:インスリンは分泌するものの正常に働かない状態
また、インスリン抵抗性を改善することで、空腹時血糖の低下、HbA1cの低下を促進し、糖尿病のような生活習慣病を予防する働きもあります。
※空腹時血糖:一時的な血糖値を示す指数
※HbA1c:数週間前の血糖値を示す指数
さらに、血液中の糖を細胞内に運ぶ役割のある「GLUT4」の働きを改善する働きもあるのです。
»【関連記事】インスリン抵抗性を予防・改善する栄養学的アプローチ
③心疾患予防
筋肉が収縮するときは、筋小胞体からカルシウムイオンが放出されることにより、筋の収縮が始まります。
対して、収縮しすぎないようにブレーキの役割をして、筋肉を弛緩するのに必要なのがマグネシウムです。
マグネシウムは、必要以上に細胞内のカルシウムが増えて、筋肉の収縮が上手くいかず、痙攣や震えが起こることを防ぎます。
マグネシウムには「カルシウムイオン濃度を調節する役割がある」ということです。
筋肉の痙攣は、狭心症や心筋梗塞のリスクに繋がります。
つまり、筋肉の収縮・弛緩のためには、マグネシウムが一定量必要ということです。
ちなみに、心疾患のリスクがある方は、マグネシウム摂取量が低いと評価されることが多いです。
④骨を作る作用
「骨」の主な材料となるのが”リン酸カルシウム”です。
このリン酸カルシウムを、体内に確保しておくために必要不可欠な存在がマグネシウムです。
リン酸カルシウムは体内に貯蔵しておくことが難しいため、吸収率を高める必要があります。
カルシウムの吸収率を上げるためのベストな摂取割合は「カルシウム2:マグネシウム1」です。
つまり、リン酸カルシウムを確保して骨を作るためには、マグネシウムのこまめな摂取が必要ということです。
また、マグネシウムも単体だと吸収率が悪いという特徴があります。
腸管でマグネシウムを吸収するためには、ビタミンDが必要です。
『カルシウム2:マグネシウム1:ビタミンD適量』これが、ベストな摂取方法になります。
⑤交感神経抑制作用
人間の体は、常に交感神経か副交感神経に傾いています。
そして、どちらかに強烈に傾いてしまうと「自律神経失調症」に繋がります。
しかし、マグネシウムには、交感神経の末端から放出されるカテコールアミンの分泌を抑制し、血管収縮や交感神経の活性を抑える働きがあるのです。
また、カテコールアミンが分泌すると、副腎からアルドステロンが分泌されます。
アルドステロンは、ナトリウムを体内に取り込む作用があるので、間接的に血圧上昇に繋がります。
マグネシウムは、カテコールアミンの分泌を抑制するので、「交感神経の活性・アルドステロンの分泌」を抑え、血圧上昇も抑制できるということです。
常にピリピリして気が休まらないと感じる人は、マグネシウム不足が原因かもしれません。
»【関連記事】自律神経失調症?!を予防・改善する栄養学的アプローチ
⑥補酵素として多くの代謝に関わる
マグネシウムの一番の働きといってもいいのが「補酵素としての働き」です。
マグネシウムは、糖・脂質・タンパク質、ほぼすべての「代謝」、ATP供給機構で「補因子」「活性因子」として働き、体内の恒常性を守る働きを担っています。
代謝酵素は体内で作れるものが多いですが、補酵素となるビタミン・ミネラルのほとんどは体内で作ることができません。
そのため、マグネシウムの摂取量が少なくなると、代謝が上手くいかなくなってしまいます。
すると、エネルギー・筋肉が作りにくいという状態になるのです。
高齢になって筋肉・エネルギー出力が衰えるという「サルコペニア」を発症している方は、マグネシウム摂取量が少ないという報告が多いという事実もあります。
体内の恒常性を守るために必要なんだけど、体内で作れない栄養素
それが「マグネシウム」です。
■マグネシウムの摂取方法
厚生労働省が発表している「食事摂取基準」では、1日に340mgを推奨しています。
令和元年の国民栄養健康調査によると、マグネシウムの1日の平均摂取量は「247.1mg」と報告されています。
これを見ると、推奨量に対して実際の摂取量は30%少ないということが分かりますね。
実際に、マグネシウムは多くの人が欠乏気味な栄養素であり、自分の体内では作れない栄養素です。
◎過剰摂取ってあるの?!
マグネシウムの過剰摂取での異常症状はほとんど報告がありません。
健康上問題のない人であれば、汗腺からマグネシウムイオンを排出したり、腎臓から尿として排出したりすることが可能です。
そのため、推奨摂取量の2倍を摂ってしまっても問題はありません。
しかし、腎臓に障害を抱えている一部の方に関しては、必要量以上のマグネシウムを体外に排出することができません。
腎臓に障害を抱えている人は、「高マグネシウム血症」が起こる可能性もあるので、過剰摂取には注意が必要です。
ハードに運動をしていて、筋収縮が多い方や発汗の多い方は340mg以上摂った方が良い場合もあります。
しかし、摂取量は個人差がありますので、自分に合った摂取量を守りましょう。
◎マグネシウムが足りない場合
マグネシウムが不足している場合は、体内での作用機序が期待できなくなります。
また、過度な不足状態が続くと、腎臓で再吸収をしたり、骨に貯蔵されているマグネシウムを放出したりしてしまうので、場合によっては「骨粗鬆症」のリスクになることもあります。
そのため、1日に必要な量のマグネシウムは摂取するようにしましょう。
◎経皮吸収が可能⁉「エプソムソルト」とは?
マグネシウムの特徴として、経口摂取のみならず”経皮吸収も有効”な点が挙げらます。
たとえば、ミネラルが入っている入浴剤に「エプソムソルト」というものがあります。
多くの栄養素は分子量が大きく、三層構造になっている皮膚から吸収ができません。
しかし、マグネシウムは経皮吸収できるという作用機序が明確になっています。
ですので、食事やサプリメントで摂取するのが難しいという人は、エプソムソルトなどの入浴剤を試してみるのもありなんじゃないかと思います。
»【関連記事】経口摂取と経皮吸収はどちらの方が効率が良いのか?
■まとめ
今回は、スーパーミネラルの「マグネシウムの働き」を徹底解説しました。
トレーニングをしている人でも、そうでない人でも、人間が生きていく上でとても重要な役割を担っています。
また、日本人のほとんどは欠乏している栄養素です。
毎日健康に過ごしていくためにも、今まで意識して摂取していなかった人は、ぜひ今日からマグネシウムを摂取してください!
◎要点まとめ
要点まとめ
✓マグネシウムの”6つの働き”
①動脈弛緩作用
②糖尿病の予防
③心疾患予防
④骨を作る
⑤交感神経抑制作用
⑥補酵素として300を超える代謝に関わる
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのお役に立つことができたのなら幸いです。